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韓国でも女性スポーツ選手がいじめで自殺

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韓国のトライアスロン選手チェ・スクヒョンさんが22歳という若さで自ら命を絶ってしまった。スポーツ選手の自殺といえば、日本でも5月末に亡くなり、その後社会的な議論を呼んでいる木村花さんの死が頭をよぎる。偶然にも亡くなった年齢は両者とも22歳だった。木村花さんは誹謗中傷による自殺だと言われているが、韓国のチェ・スクヒョン選手を追い込んだものとは一体何だったのだろうか?

チェ・スクヒョン選手は1998年生まれの女子トライアスロン選手だった。水泳選手としてスポーツの世界に飛び込み、その後その過酷さから“鉄人レース“とも称されるトライアスロンの道に進み、韓国慶州市のトライアスロンチームに所属し活躍していた。 2015年台湾新北市で行われたASTCアジアトライアスロン選手権2015では3位に入賞するなど活躍を見せ、最近では去年の10月に行われた国際トライアスロンチャンピオンシップの女子エリートで14位の成績を収めていた。 そんなチェ・スクヒョン選手が、6月26日釜山の寮で死亡しているのが発見された。死亡直前に母親へ送信されたKakaoTalkのメッセージには、「お母さん、愛してる。あの人たちの罪を明るみにして」と書かれていたことから、自殺とみられている。 <チームドクターが「極限に追い込み自殺させてやる」> その後、遺族が「チェ選手の自殺は所属していたチームの監督、スポーツ医師、一部の先輩選手からのいじめが原因」と訴え、韓国中が騒然となった。7月1日には、チェ選手の知人によって韓国大統領府のホームページへ「チェ・スクヒョン選手の死亡事件について徹底した捜査を追及する」という国民請願が立ち上がり、さらに世間の注目を集めることとなった。 さらに、遺族はチェ・スクヒョン選手への暴行現場で録音されたと思われる音声も公開した。殴る蹴るといった行為が約20分間も繰り返されていて、聞いているのもつらい音声だ。また、警察に相談していたチェ・スクヒョン選手の通話記録も公開されると、先輩から「パンを数万円分買ってこい」と命令され、買って戻るとそれを吐くまで食べさせられた、などのイジメも発覚した。 さらに、KBSニュースの報道によると、チェ選手が未成年だった頃にチーム内で飲酒を強制された過去があったこと、チームドクターから「(チェ選手が)心理治療を受けている間に極限に追い込み、自殺するように誘導してやる」などという発言もあったという。

チームメイトもセクハラで告発

調査によると、チェ・スクヒョン選手は今年の2月から様々な組織に対してパワハラやいじめを訴え始めていた。しかし、警察に暴行を訴えても大した問題ではないと、取り合ってもらえず、その後5つの組織に6度にわたって訴えたものの、いずれも相手にされず、最後に大韓体育会(日本のスポーツ庁に相当)の人権センターに電話した後、自らの命を絶ってしまった。 チェ・スクヒョン選手の死によって明るみになった驚愕の事実。これに続き、チェ選手とチームメイトだった女子トライアスロン選手2名が記者会見を開いて、さらなる告発をした。それによると、チームドクターは治療と言いながら胸や太ももなどを執拗に触るというセクハラをおこなっていた。さらに、監督は選手が国際大会に出場するたびに、国や連盟からの支援金があるにもかかわらず、各選手から80~100万ウォン程の資金を徴収していたという疑惑も出てきている。 <「チームドクター」はドクターではなかった> 事件の深刻さが注目され始め、文在寅大統領は文化体育省幹部など関係省庁を叱咤し、徹底的な真相究明と対策作りを命じている。今月13日には早速チームドクターだったアン・ジュヒョン容疑者が警察に拘束された。そこで明らかになったのは、なんと彼は医師免許が無かったにもかかわらずドクターとしてチームに所属していたことが発覚したのだ。 アン・ジュヒョン容疑者は観念したのか、警察に一部の容疑を認める供述を始めたという。現在、その他容疑がかけられている監督や一部の先輩選手らは、チェ選手に対する暴行・暴言を全面否認している状態だ。だからこそ、アン・ジュヒョン容疑者の供述は、監督及び選手の疑いを糾明するのに大きな助けになると見込まれている。 韓国のスポーツ選手へのセクハラ・パワハラ問題は、今回が初めてではない。以前から何度かニュースに取り上げられてきた。2018年には元テニス選手のキム・ウニ氏が、10歳のころからコーチから性的暴行を受けていたと海外メディアを通じ告白し大きな衝撃が走った。このコーチはその後、強姦致傷罪で禁固10年の刑が言い渡されている。 2014年ソチオリンピック女子カーリングチームの監督を務めたチェ・ミンソクは、その後選手たちからセクハラを訴えられ辞任している。同年、韓国スポーツオリンピック委員会は、「女子アスリートが受けたセクハラ被害」の調査報告を発表し、なんと7人の1人が被害にあったことがあると回答した。

スポーツ選手へのセクハラ、アメリカでも

もちろん、この問題は韓国に限ったことではない。6月24日ネットフリックスで『あるアスリートの告発(Athlete A)』というドキュメンタリー映画が公開された。これは2016年の「アメリカ体操連盟性虐待事件」を追ったドキュメンタリーである、実際の被害者と事件をスクープした新聞記者らが顔出しで出演し話題となった。 そのインタビューの中で、被害者の元体操選手は「選手をコントロールしやすくするために、暴力・暴言・セクハラが行われている」と語っている。暴力や暴言で圧倒して狭い世界に追い込み、ロボットのように洗脳するのだという。 <チームは監督とチームドクターらの「王国」> チェ・スクヒョン選手の同僚2人も、記者会見の場で「(チーム内は)監督とチームドクター、一部の選手による閉鎖的な王国だった」と発言している。スポーツ界に共通する闇がそこにはあったのかもしれない。 『あるアスリートの告発』では、結果的に加害者のチームドクターは175年の禁固刑が言い渡され、事実上の終身刑となった。その後、虐待の事実を知っていながら申告しなかったコーチらも捕まっている。映画の終盤、120名を超える被害者女性たちが加害者のドクターを前に、法廷で証言するクライマックスはすさまじいインパクトを感じさせる。 一方、今回の事件はチェ・スクヒョン選手の自殺という最悪な結果をきっかけに明るみになった。もう少し早く発覚していればチェ選手を助けられていたのではないか。そう考えると残念でならないとともに、今現在も世界のどこかで起こっているかもしれないスポーツ界でのパワハラやセクハラを取り締まり、第二の全米元体操選手たちやチェ・スクヒョン選手を出さないように取り組んでいくことを願ってやまない。