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「いじめが起こりにくいクラスを作れない」

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夏休みが終わり授業再開となる学校も出てきた中、新型コロナウイルスが子どもたちに深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。

その心配とは、コロナ禍において今後いじめが増えること。NPO法人共育の杜」が行った、教職員およそ1200人が答えたネット調査によると、9割の先生たちが「今後いじめが増える可能性が高い」と考えていることがわかった。  なぜ、コロナ禍においていじめが増えるのか。その原因とされるのが、意外にも先生たちの疲労感の高まりだった。

「消毒作業」などで先生たちの業務量増

 「本来であれば、先生方は子どもたちがいじめなどの行動などにはしらないようにゆっくり話をして、気持ちを解きほぐすということをしたい。しかし残念ながら、授業が遅れてしまったことでそちらに力を入れざるを得なくなる。一方的な授業になると子どもたちにとってもストレスになるので、そのはざまで先生方も非常に苦しんでいるのが現状ではないか」

 

 

 調査結果では、コロナ禍により「消毒作業」や「マスク着用、ソーシャルディスタンスの指導」などで先生たちの業務量は増えており、東京や大阪など7都府県の教職員812人のうち、文部科学省が定めた残業の上限月45時間を超えた人は490人と6割にのぼった。また「疲労感やストレスを感じると子どもの話をしっかり聞けなくなる」という質問に対し、「とてもそう思う」「まぁまぁそう思う」と考える人の割合は33%となっている。  「子どもたちの話を聞きたいと思っても、先生たちもとても聞けるような時間的余裕、精神的余裕がないのが現実」

 

子どもたちのストレスに懸念も

 また、コロナ禍で教職員だけではなく、子どもたちにもストレスが高まっているという。  「自分が感染症にかかるのではないかという不安が1つ。2つ目に、この暑い中マスクして登校する、それがもたらす肉体的な疲れ・心の疲れは本当に深刻だと思っている」(同)  調査結果を受けて、共育の杜は文科省に緊急提言を手渡した。はたして「いじめ」を増やさないためにはいま何が必要なのか。  「社会全体が子どもたちをこれ以上追い込まないこと。例えば、学習の遅れを早く取り戻そうとか、自宅でオンライン事業をしっかりとやらせようとか、一つひとつが今の子どもたちの心に大きなストレスをかけているので、まずはほっとできる時間をご家庭でも学校でも作ってあげることが先決」

臨床心理士「今は“いじめが起こりにくいクラス”をなかなか作れない」

コロナ禍で今後いじめ増”教職員の9割が懸念

 コロナ禍でいじめが増えるという懸念について、明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「現場レベルで見て、アンケートに答えた先生方が感じたことはその通りだと思うところはある」として、次のように話す。  「クラス開きといって、4月になったらクラス替えをして新しいクラスがスタートしていくが、今回はちょうどその時期が休校期間中だった。本来先生は、集団凝集性といってクラスの集団としてのまとまりや絆を1年かけて深めていくことをひとつのポイントとして取り組んでいく。それが達成できない時に起こる問題のひとつがいじめで、加害者側に何らかの問題があっていじめにつながることがあるが、個人だけでなく集団の要因、つまりどういう環境に加害の要素を持った子が置かれるかによって、いじめが起こるか起こらないかが決まる。今は“いじめが起こりにくいクラス”をなかなか作れる状況にないという先生の手応えによって、『いじめが増えるかもしれない』という見立てにつながっていると思われる」  教員の働き方などの調査では、残業と自宅での労働が「月80時間以上」と答えた人が56%いた。また、「少人数制」を希望する声もあったという。  「『学校の先生は忙しい』と言われているが、社会の中で一番忙しい仕事ではない。しかし、僕自身が学校の現場に入って20年ぐらい見ていると、先生方が忙しいのは確かだと思う。このコロナ禍で先生方もいろいろなことを考えた中で、日々に追われていると認識できない問題や思ってはいたものの整理できていなかった課題のようなものが浮き彫りになってきたのだと思う。少人数制は、指導が難しいような子がいた場合に、人数が少ないほど1人にかけられる時間や向けられる目は増えるので教育しやすくなる、つまり子どもにとっていい環境になることは確か。学校の先生方の環境改善はずっと言われているが、なかなか実現していないことなので、それは引き続き必要だと声をあげていく必要がある」

 

藤井靖氏

 そうした先生の環境改善のため、藤井氏は3つポイントをあげた。  「1つは『待遇の改善』。いま教員になりたいという人がかなり少なくなっていて、まだ都市部だと倍率が高く競争が発生しているが、地域によっては競争がほとんど発生しない状況もある。残業代を適正に支給するなど、もう少し待遇を改善しないと、今以上になりたいと思える職業になっていかない。  2つ目は『専門職化』。先生方に対する教育の経過を考えてみると、大学で教育実習に長くても1カ月程度行って、もう次の年には現場に出て担任を持つ場合もあるという状況。職についてからが塾の先生とは違い、学校の先生は授業はもちろん行事もコントロールし、子どもたちの様子を見て話も聞くという多様な仕事をこなさないといけない。その意味では、ぶっつけ感は否めない。元々専門職だが教育の期間を長めにして、例えば他の専門職と同じように6年の教育モデルでトレーニングして現場に出るなど、その辺りは考えなければいけないのではないか。  3つ目は『分業化』。学校の先生の良心任せにいろいろやらされすぎているということがあって、部活の指導や書類作りはよく言われることだが、慣例化している行事、清掃や消毒作業なんかは外注できないと、日々必要なものに対する時間は取れないと思う。現場を見ていると全てのことをできる先生もいるが、全員がやれるわけではなく、全ての人が同じように同じことをやる前提になっている構造が問題だと思う。一にも二にもお金をつけないと、人的資源の確保にもつながってこないと思う」