人間関係が難しいとされるのはママ友グループ。そこには“いじめ”も多く、LINEグループの存在で、そのいじめが加速してしまうことも多いという。ある実例を紹介する。
A子さんは、高齢出産ゆえのママ友との年齢差をいじられ続けてきた。場所は幼稚園でのママ友とのLINEグループだ。
「世代ギャップが生まれそうな話題を既読してしまうと『ねえ、センパーイ、何か言ってよ』と揶揄されます。最初は『○○ちゃんママ』と呼ばれていたのに、いまでは『バーバ』と呼んでくる。
それも冗談っぽくみんなで言うので、私も『やめてよー』と調子を合わせることしかできなくて…。しかもLINEではいじってきても、対面で言うことはない。顔を見て言えない心ない言葉でもLINEでは言えるんですよ」(A子さん)
いちばん触れられたくない年齢についても、LINEグループで晒されたという。
「どこから聞いたのか、『50才なんですって?』と、わざわざLINEグループで暴露してきたのです。それ以来、『運動会のときのピンクのTシャツ、超若作りじゃなかった?』とか『こないだのランチ会に着てきたブラウス、スケスケでおばあちゃんびっくり!w』と、何かと私の年齢をいじってくるようになりました」(A子さん)
ため息が止まらないA子さんは、このLINEグループからの卒業の日をいまかいまかと夢見ている。
「子供がもう少し大きくなったら、つきあうのもやめられるしLINEグループからも抜けられます。いまは、子供が選んだお友達との時間を壊したくないので、あと少しだけ、我慢します」(A子さん)
書かれる側は、我慢を続けるしかないのだろうか。
LINEグループでは、ママ友同士のライバル意識が強いがあまり、マウンティングが行われることもある。その現場を目撃したというのは40代のB子さんだ。子供を都内の有名私立中学に通わせているママ友数人で、LINEグループを作っている。
「あるとき、グループの1人が結婚記念日にホテルのレストランで食事をしていたところ、別のママ友のご主人と若い女性が親密にしているのを見かけたと、こっそり撮った写真をLINEグループにあげてきたのです」(B子さん)
B子さんは突然のことに驚いたが、ママ友同士は交流があっても、夫のことまではよく知らない。反応に躊躇していると、密会をしていたとされる夫の妻が一言、「夫だわ」と書き込んできた。
「でも、ご主人の浮気を知るのと、家庭内の不和がママ友たちにバレるのが同時というのは、けっこうしんどいと思うんですよ。なのであるとき、写真をあげたママ友に『みんなにバラさなくてもよかったんじゃない?』と言ってみたんです。
そうしたら、『彼女はいつも、子供やご主人、家の自慢ばかりしていて鼻についていたから、釘を刺してやったのよ』ですって…」(B子さん)
いまでも、撮影者のママ友はLINEグループで経過報告を求め続け、当の本人は「特に問題ないわよ」とだけ答えているという。
こうしたママ友間のLINEいじめに、特効薬はないと教育ジャーナリストの松本肇さんは言う。
「学校でのいじめは教師や親に相談できる。会社でのパワハラやセクハラは上司や専門窓口、労働基準監督署などに行けばいい。でも、ママ友コミュニティーにはそうした駆け込む場がありません。
夫に相談してもそれくらい我慢すればと言われるし、弁護士に相談するほど大事にはしたくない。そして、何より子供にまで影響が広がるくらいなら自分が耐えればいいと思ってしまいます」
スマホの向こうにいる生身の人間を追い詰めるLINE上での“場外乱闘”。スマホを覗く自らの顔の醜さに気づく日が、一日でも早く来ることを願うばかりだ。