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テラスハウスに出演していたモデルが考える「SNSいじめ」

2016年から2017年まで放送のハワイ版テラスハウスALOHA STATE』に出演していた経歴を持つ、モデルの長谷川ミラさん。南アフリカ人(ドイツ系アイルランド系)の父と日本人の母を持つ自身のバックボーンを生かし、モデルの仕事と並行して、ジェンダーや環境問題、フェミニズムなどさまざまな社会問題に関しても活動している。

そんな彼女が、発信する連載「日本人として思うこと」の第4回。今回は、SNSでの誹謗中傷」について。

自身も「テラスハウス」に出演していた際に多くの中傷を受けていたというミラさんが、同番組に出演していた木村花さんの痛ましい出来事を受けて今感じていること、また近年相次いで問題になっているSNSいじめの現状を受けて、社会がどのような対策を講じているのかを文章にまとめ綴ってくださいました。

 

すべて、他人事ではなかった

2019年からここ最近を見ただけでも、ネット特にSNSを介した有名人の匿名による誹謗中傷がもはや当たり前になってきている。2019年には日本でも活躍をされていた、お隣韓国の大人気アイドルグループ「KARA」出身の歌手兼女優の故ク・ハラさんも自ら命を絶ったと報じられた。元恋人からのリベンジポルノがきっかけで執拗に誹謗中傷されたことが原因とみられている。

 

ハラさんは「ひと言の言葉で人を殺すことも生かすこともできる」などとSNSでの誹謗中傷を批判していた。K-POPの10年来のオタクでありKARAのファンクラブに入っていた時代もある私にとって、立て続けに起きてしまった韓国アイドルの自殺問題は人ごとではなくなっていた。

そしてリアリティ番組テラスハウス」に出演中だった女子プロレスラー木村花さんが亡くなったという悲報が5月下旬にあり、約3ヵ月が経過した。SNSによる誹謗中傷を苦にしたと言われており、現在お母様の響子さんもSNSやメディアで花さんの名誉をきちんと守るため、そして二度と同じような悲劇が起こらないようにするために活動を続けている。

5月23日に22歳の若さでこの世を去った女子プロレスラーの木村花さん。海外にも多くのファンがいる木村さんは、プロレス業界で国際的な活躍が期待されていた方だった。Photo by gettyimages

私自身も2017年に出演していた番組の同じ出演者と同い年という点という2つの共通点があることもあり、面識はないもののこの訃報を聞いたときは虚しさと悔しさで溢れた。

番組内での、出演者同士のトラブルが放送された後の8月下旬未明には、
《毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました》
と花さんはSNSを通じて発信していた。

今回の“事件”に関して、私も出演していたテラスハウスALOHA STATE編の元出演者の多くは自分達も一出演者として、「誹謗中傷経験者」として、とてもショックだった。花さんより先に経験したものとして誹謗中傷を「しょうがないもの」として受け入れるのではなく、対応の仕方や、何らかの対策を打って欲しいと、制作会社に訴える事は出来たのではないか……そんな風に悔やんでいるメンバーは、私を含めてとても多い。

私が経験していた誹謗中傷

SNSでの誹謗中傷は私自身何度も経験してきた。リアリティーショーに出演していた際も特にこれといった炎上はしたことないものの、出演中はコンスタントに「死ね」「デブ」「消えろ」といった投げやりの悲しいメッセージを毎日のように受け取った。

ハワイ版テラスハウスALOHA STATE』に出演していた頃のミラさん。 写真提供/長谷川ミラ

ダイレクトメッセージを介して長文で残酷な言葉を交えつつ、あたかも自分が正義のように意見をご丁寧に送ってくる人もいた。当時は19歳と若かったこともあり、見えない相手からの心ない言葉に涙を流す日もあったが、時間が過ぎると共に言われることに対し慣れが生じてしまった。

 

何よりも、番組に出演する以上、どこかで「しょうがない」「ある程度は我慢しなければいけないものだ」と頭で処理するようになった。もし、ここで何かアクションを起こしていれば……気付いていれば……。

私の中での「たられば」はいつまでも続いている。

「たられば」が続く中で、「どの程度対策が取られているのか」と思い立ち、調べてみた。SNSを介したメンタルヘルス問題、自殺問題は、日本国内だけではなく、海外でも大きな課題として取り上げられている。

芸能人だけでなく個人に対してネット上で厳しい批判を繰り返す行動は、「ネットいじめ」として世界でも問題視されており、専門家は法整備の必要性を訴えている。
厚生労働省は平成30年6月19日、自殺の現状や若者の自殺対策の取組みなどについてまとめた、平成30年版「自殺対策白書」を公開した。厚生労働省Webサイトから閲覧できる。

Photo by iStock

日本の若者(30歳以下)における死亡原因第1位は自殺であり、先進国の中では突出して高い。2016年には自殺対策基本法を大きく改正し、自治体では「自殺対策計画づくり」が義務化されていたものの、今回のような悲惨な事件が起きてしまったわけだ。日本の若い世代の自殺は深刻な状況にある。

 

このようなSNSを介した“いじめ”いわゆる誹謗中傷、権利侵害情報が増えていることを受けて、高市早苗総務大臣はインターネット上で誹謗中傷等を行った発信者の本人情報特定をより容易にするため、現行制度の改正を検討する方針を示した。被害者側は弁護士を通じて携帯電話会社などに住所や名前といった発信者の個人情報を照会できるため、裁判の手続きが1度で済むようになり、発信者特定のためのハードルが下がるようになった。

法務省も今年6月1日より、SNSで相次ぐ誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチームを設置し、政府が大きく動いているのが伺えるが、実際に訴えるとなると費用も大幅にかかる。私や木村花さんのような若者には金銭的に現実的ではないのが正直なところだ。

誹謗中傷を「国が許さない」という姿勢

では他の国ではどういった対策をとっているのか。

例えば、ニュージーランドではネット上の有害情報を規制することを目的とした法律「有害デジタル通信法」(英文:“Harmful Digital Communications Act 2015”)が最近成立した。つまり、個人が自費を用いて訴えるまでもなく、誹謗中傷だと認められたらきちんと罰されるのだ。

この法律では、個人に害をもたらすことを意図してネット上に情報を投稿した場合、

・投稿に用いられた言葉の酷さ(extremity)
・投稿の対象になった個人の年齢や性質(age and characteristics)
・匿名(anonymous)での投稿かどうか
・繰り返し(repeated)投稿されたかどうか
・投稿が伝播した範囲(extent of circulation)
・内容が真実かどうか(true or false)
・投稿された際の文脈(context)

といったその投稿が個人を害するものかどうかを裁判所が判断するという仕組みになっている。個人はその証拠を提出する必要があるが、訴えることには費用はかからないのだ。

そして、個人を害する投稿であると判断された場合、投稿者には、「2年以下の懲役または5万ニュージーランドドル(約400万円)以下の罰金」が科せられる可能性がある。

 

ちなみに、日本の刑法で規定されている名誉毀損罪の場合は、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」となっている為、ニュージーランドの場合は罰金が日本に比べてかなり高額だ。国をあげて「ネットの誹謗中傷は許しません」という姿勢を見せていることになる。

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指一本で人間の命を奪えるようになってしまった今、私達は個人として、社会としてまだまだできることがあるのではないかと問う毎日である。

日本も少しずつ法律を始めネットの使い方などの意識が変わってきているようにも感じるが、やはり私たちの一人一人の意識や呼びかけが大きく社会に影響すると私は強く確信している。小さな一歩一歩だ。