「ＢＥ Ａ ＨＥＲＯ」というプロジェクト

３年前の秋、いじめ問題を解決しようと「ＢＥ　Ａ　ＨＥＲＯ」というプロジェクトが始まった。ヒーローとはいじめを退治する人というより、正しい行動を取れる人のこと。いじめをなくすヒーローに君たちがなろう－▼小中学生に「勇気を持ってヒーローに」と呼び掛けたのがプロ野球の岩隈久志投手だ。このプロジェクトの発起人となって、各地の学校などで講演している。２年前には仙台市青葉区の広瀬中で友人を尊重する大切さを訴えた▼ヘルプ（助け合い）、エンパシー（共感）、リスペクト（尊重）、オープンマインド（広い心）。ＨＥＲＯはこれらの４つの言葉の頭文字でもある。岩隈選手は「メジャーリーグにはこの全てが備わっていた」と語っている▼「メジャーには多くの国から選手が集まり、言葉が違う中でみんなが助け合い、広い心で共感し、お互いにリスペクトしている。おかげで自分の力を思いっ切り発揮できる」。米球界での経験がいじめをなくすために役立つと考えた▼岩隈選手が今季限りで引退するという。東北楽天での活躍がファンの脳裏には鮮やかで、いつかまた楽天でプレーをと願った人も多いに違いない。引退は残念だが、いじめ撲滅のような人柄がにじむ社会活動はこれからも長く続けてくれるだろう。