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子どもの悩みに「即日対応」

教員の業務分析、多忙改善へ

パソコンで出退勤の管理ソフトを扱う教員。モニター(奥)で在校かどうかが分かる=関市緑ケ丘、緑ケ丘中学校

「大人には見えにくいいじめに対し、いかに鋭敏な感性を備えるか」「そうした感性を養うためには、教員が多忙であっては実現しにくいと考えられる」。岐阜市立中学校3年の男子生徒=当時(14)=がいじめを苦に自殺した、昨年7月の重大事案を調査した市教育委員会の第三者組織・いじめ問題対策委員会は、報告書の公表部分で教員の負担軽減に努める必要性を指摘している。いじめの前兆など、子どもが寄せた情報に対する「即日対応」を徹底するためだ。

 教員が校内にいるかが職員室で把握できる「壁掛けテレビパネル」を導入している関市の緑ケ丘中学校。2017年に校務補助システムを活用し、勤務の見える化を進めた。それ以前は紙ベースでの記録だった。

 当時、教頭だった美濃教育事務所の西川正人課長補佐は、導入による変化に保護者や地域住民からの電話の対応を挙げた。電話の多くは始業前や放課後といった厳密には教員の勤務時間外に集中しやすい。在校かどうか分かれば、電話を受けた人が要件を聞いて伝えたり、その場にいる教員で解決したりと瞬時に判断できる。「意識や工夫で、業務は効率化できる。現場が安心して働ける仕組みを築くのが管理職の責務」と語る。

 17年に県教育委員会は、「教職員の働き方改革プラン」を策定し、残業の上限を月45時間、年360時間とする指針を示した。郡上特別支援学校の男性講師=当時(24)=が長時間勤務や上司の厳しい叱責(しっせき)から自殺し、公務災害が認められたことが契機となった。

 ただ、改革の進展は学校ごとに異なる。県や高山市揖斐郡などの教職員組合でつくる県教職員組合連絡会議が6~7月、県内の小中高校、特別支援学校の教員約1700人から回答を得た勤務改善に関するアンケートによると、1日当たり45分間の休憩時間に関し「だいたい取れている」との回答は11%にとどまり、約半数が「全く取れない」と答えた。

 岐阜市は先月、情報通信技術(ICT)を活用し教育現場の支援事業を展開するARROWS(東京都)などと連携協定を結んだ。労務管理ソフトを駆使し、教職員の勤務実態を分析することで負担軽減を図り、子どもたちと向き合う体制づくりにつなげる狙いだ。

 同社が2年前に連携した千葉県柏市の市立小学校1校での調査によると、教員が多忙さを感じる業務は部活動、成績通知表の作成、保護者に対するアンケートに集中していた。部活動の短縮や成績通知表を年3回から2回に削減、アンケートのデジタル化といった改善策で1日当たり約12時間だった在校時間を1時間ほど減らすことに成功している。

 同社の浅谷治希最高経営責任者は「何に労力が掛かっているかを可視化することで、解決のための具体策も構築できる」と語る。岐阜市は取り組みを全ての市立小中学校、特別支援学校で展開する方針だ。

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 子どもの未来を育む学校で起きた、いじめによる生徒の自殺。複数の関係者らへの取材から浮かび上がった、学校現場の課題に向き合う。