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「ばれたら...」先生にいじめ相談できない理由

早川三根夫教育長(奥左)に意見や考えを伝える生徒=今年7月、岐阜市加納舟田町、加納中学校

昨年7月に亡くなった岐阜市立中学校3年の男子生徒=当時(14)=へのいじめは、100人近くの生徒が見聞きしていたとされる。だが、担任に知らせた生徒はわずか2人だった。

 「お金払わされそうや」。加害生徒から金銭を要求されていた男子生徒は、友人にそうこぼしていた。昨年6月の修学旅行の頃には、休み時間にビンタされている男子生徒を多くの同級生が目撃している。中心になっていじめていた生徒に対し、クラスでは「やり過ぎだよね」といった声が上がるほどだった。

 それでも男子生徒は、教師に訴えることはなかった。女子生徒からの報告でいじめを知った担任の聞き取りに対し、「ふざけの延長でいじめと思われるのは心外」などと答えている。調査した第三者組織の市教育委員会いじめ問題対策委員会は、報告書で「教員が自らの境遇を救ってくれると期待できる対象ではなかった」と指摘した。

 今月の市議会定例会では市いじめ防止対策推進条例の改正案が可決された。市はパブリックコメント(意見公募)で、当事者である子どもたちからも意見を募ったが、提出された意見からは教師への信頼が揺らいでいることが浮き彫りとなった。

 「強い立場の人がいじめをする。いじめられる人は口止めされ、見ている人も逆らえない。だから先生に相談するのは難しい」「先生に気軽に相談できる人は少数しかいない。その後の心配をしなくてもいいという具体例を教えてほしい」「先生への相談がばれたらと思うと不安になる」

 岐阜市の早川三根夫教育長は7月、市立加納中で生徒から話を聞いた。ある生徒は「子どもの社会は大人が思っている以上に複雑。先生に言うのは勇気がいる」と学校の対応への不安を口にした。結果的にいじめを見過ごした男子生徒の同級生たちも、同じ思いだったのかもしれない。

 子どもが相談しやすい環境はどうしたらできるのだろうか。市教委は、いじめ対応の中核を担う教員「いじめ対策監」を4月から市立学校全70校に配置。全11回の研修を通して、いじめと疑われる事案が発生した際の聞き取り方法のポイントや子どもから取るアンケート結果の分析、活用法を学ぶ。いじめや問題行動に素早く対処することで信頼を得ていきたいという。

 岐阜大地域科学部の近藤真庸特任教授=教育学=は「相談しなかったクラスメートにも葛藤はあったはずだ。中学生は多感な時期。教員はもっと子どもたちに寄り添うべきだった」と話している。