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いじめ対応にAI

データ活用し深刻化防げ

【論説】いじめ被害を減らすために人工知能(AI)を活用する新たな取り組みが始まっている。過去データの分析により、いじめが深刻化するリスクを瞬時に判断するもので、子どもたちの貴い命を救う有効な方法として定着するか注目したい。

 AIを取り入れているのは、大津市が民間企業とともに開発し、試験運用している「いじめ予測分析システム」。同市は2011年に中学2年の男子生徒がいじめを苦に自ら命を絶った事件をきっかけに開発を進めてきた。

 大津市内で認知された過去約5千件のいじめ報告書のデータをAIが分析。いじめが起きた時間や場所、相手などを入力すると、いじめが深刻化するリスクを自動的にパーセントで表示する。目に見える数字で把握できるのは画期的だ。

 以前は市内の学校からメールで集めた月に数百件のいじめ報告書を、教育委員会の職員が一つ一つ確認していたため対応が遅れるケースがあったという。いじめには素早い対応が求められる。多忙を極める学校現場で経験の浅い教員にも適切な対応を促すことができるという点で、非常に有用なシステムと言える。

 同市の事件を契機にいじめ防止対策推進法が議員立法で成立、施行されてから7年がたつ。全国の国公私立の小中高校と特別支援学校が19年度に認知したいじめは、前年度より6万8563件増えて61万2496件となり、過去最多を更新した。

 調査した文部科学省は「教員が積極的にいじめを発見し、早期に介入する方針が定着した」と肯定的に評価しているが、一方で心身に深刻な被害が生じるなどの「重大事態」も2割増の723件で最多。深刻度は低減しておらず、さらなる対策は不可欠だ。

 大津市の予測分析システムで、小学1年の女児がいじめにあった事例は「友達に無視された」と一見よくある形態だったが、AIは「深刻度75%」と瞬時に評価した。見過ごされがちな事案でも客観的な判断で気付くことができるというシステムのメリットが表れた形だ。教育行政に詳しい専門家も「いじめの傾向は共通点がある。データに基づいて客観的に兆候を見逃さないためにも有益」と指摘している。

 いじめ予測分析システムについては、さいたま市など7自治体が導入を検討しており、他にも約20自治体が関心を示しているという。客観的データを有効活用する新たな手法が広がりを見せていくか、研究・実践の進展を望みたい。