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9割の子供がいじめ経験あり衝撃のデータ

本の学校の深刻すぎる問題

いじめ、不登校、保護者との軋轢、長時間労働、新型コロナの影響……。山積する教育現場の問題に解決策を与えてくれるのは、著書『いい教師の条件』を上梓した諸富祥彦氏だ。大きな社会問題となっている「いじめ」。あるデータによれば、なんと9割の子どもがいじめを受けた経験があり、またはいじめに加担した経験があるという。そのリアルな実態と、親や教師が知っておくべき対応策を教えてもらった。

学校は今「戦国状態」だ

私は、いじめが最も深刻だと思われる公立の中学校において、21年ほどスクールカウンセラーをしていました。カウンセリング・ルームにいて、いじめに遭った子ども、仲間外れにされている子どもの訴えを聞かない日はありませんでした。

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今、子どもたちは、いつ誰が狙いうちされるかわからない状態にあります。思春期の子どもたちにとって、学校は常に「戦国状態」なのです。

文部科学省「いじめ防止対策協議会」(2016年度)による調査には、小学校4年生から中学校3年生まで、同じ子どもたちを6年間追いかけた、縦断的な研究の成果が示されています。小4から中3までの6年間、1年に2回、合計12回にわたって、「あなたは今、いじめや仲間外しをされていますか」という問いに回答してもらったのです。

「あなたは今、いじめや仲間外しをされていますか」……小4から中3までの6年間に、この問いに「はい」と答えた子どもの割合は、どれくらいだとあなたは思いますか?

(1)30%以内

(2)40~70%

(3)80%以上

正解は(3)です。調査の結果、なんと、9割の子どもが小4から中3まで6年間に一度は、「自分は今、いじめや仲間外しの被害に遭っている」と答えたことがわかったのです。つまり、小学校4年生から中学校3年生の6年間にかけて、ほぼすべての子どもがいじめや仲間外しの被害経験が一度はあったのです。

すべてのクラスにいじめはある

その調査では、いじめの被害体験だけでなく、加害体験についてもたずねています。「あなたは今、友達をいじめたり、仲間外しにしたりしていますか」と問うているのです。

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小4から中3までの6年間、合計12回の調査で一度も「している」と答えなかったのは、わずか1割。なんと9割の子どもが小4から中3までの6年間に一度はいじめや仲間外しの加害体験があることがわかったのです。

ほぼ9割の子どもが、いじめられたり仲間外しにされたことがあるし、逆に誰かをいじめたり仲間外れにしたこともあるのです。

小学校高学年から中学校に限っていうと、「すべての学級にいじめらしきものはある」と言っていいでしょう。さらにいえば、いつ、どの子どもがいじめられてもおかしくない。いつ誰が排除されてもおかしくない。そんな状態にあるのです。

かつてのいじめは、いじめっ子といじめられっ子が固定されていました。たとえば、(1)Aくんがいじめる側で、(2)Bくんがいじめられる側。その周囲に、(3)それをはやし立てる観客と、(4)ただ見ているだけの傍観者がいる。この「いじめの4層構造」が従来のいじめの基本型でした。

しかし今は、かつてよりもはるかに「いじめ」の対象が流動的です。いつ誰が加害者になって、いつ誰が被害者になってもおかしくない。どの子がターゲットにされてもおかしくない状況なのです。

20年くらい前までは、いじめは「友達関係のトラブル」だから、早く仲直りをさせて解決しようと短絡的に考える先生も少なくありませんでした。ただのケンカなら、それでいいでしょう。しかし、いじめはケンカとは異なります。いじめは、その子が属する「グループ内」でのパワーバランスが関係している、はるかに複雑な現象です。

いじめは人生に大きく影響する

いじめがなぜ重要な課題なのか。いじめられた子が、心に重大な傷を負い、人生全体に大きなマイナスの影響を受けるからです。

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私は、「死にたい」「消えたい」と語る大学生のカウンセリングも数多く行ってきました。

そんな学生たちの多くが、そのきっかけとして語るのが、小学校高学年から中学校にかけての「いじめられた体験」です。

「中2のとき、いじめられたあのときから、僕なんて、生きていても仕方ないと思うようになりました……」

「いじめられて以来、私みたいな人間は、友達になってもらう価値がないように思うようになりました。それから友達なんて、ひとりもつくったことがありません」

そんなふうに彼ら彼女らは話します。

いじめによって自尊心が著しく低下してしまい、自己否定の悪循環に陥ってしまった影響で、ずっと友人ができず、そのために大学を中退したり、会社を辞めたり、恋愛や結婚もできなくなってしまう人が少なくありません。

いじめられた側の心の傷が癒えるのには、10年、20年という長い時間がかかります。

いじめ問題は、いじめられた子どもの「人生そのものを大きく狂わせてしまう大問題」なのです。だから、絶対に許してはいけないのです。

単なる子ども同士のトラブルで片づけてよいものでは決してありません。

私たち学校関係者は、いじめられた子を守ることこそ、最優先すべきなのです。