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伊藤準さん自殺25年で専門家に聞く

高橋知己教授

高橋知己教授

 

1995年11月に、新潟県上越市春日中1年の伊藤準(ひさし)さん=当時(13)=が、いじめを苦に自殺した事件から27日で25年。県内では今もいじめ自殺が絶えず、教育現場では根絶に向けた模索が続く。伊藤さん事件が社会に突き付けたものと、残された課題は何か。上越市上越教育大に今年9月に設置された「いじめ・生徒指導研究センター」のトップを務める同大大学院の高橋知己教授に聞いた。

 -伊藤さんのいじめ自殺は、加害生徒を実名で告発する遺書が残されていたこともあり、全国に大きな衝撃を与えました。

 「伊藤さんの事件以前に社会が認識していた学校内の問題行動は、非行少年・少女による喫煙や暴力など大人が外から見て『気付く』ことができた」

 

「ところが、大人が気付くことができない『不可視化』されたいじめによって、10代の若者が自ら命を絶つという事態が起きてしまった。現在まで続くいじめ問題を予見するような事件だった」

 -県内の教育現場は事件以降、いじめ問題にどのように対応してきましたか。

 「まず、いじめ根絶に向けた啓発活動が強化された。さらに、子どもに関する情報を教員個人で抱え込まず、学年や学校全体がチームとして共有し、問題に当たるように変化した」

 -それでも2016年に県立新潟工業高の1年生男子が自殺するなど、いじめ自殺は無くなっていません。

 「いじめられている子どもは『親に心配を掛けたくない』と考えて、大人に打ち明けないことが多い。だからこそ、大人が問題の兆候に気付かないといけない。早期発見と初期対応が非常に重要だ」

 -いじめを早期発見し、重大化を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

 「学校ができる具体的な対策として『いじめ避難訓練』『いじめアンケートの工夫』『生徒と教員のトイレ共有』を提案したい」

 「火災の避難訓練をするように、いじめに遭ったときに、まずはスクールカウンセラーのところへ“避難”するなど、いじめ問題が発生した際の具体的な行動手順を、学校全体で訓練してみるべきだ」

 -いじめアンケートは各校が実施しています。

 「アンケートは単に『はい』『いいえ』に丸を付けさせるのではなく、自分の今の気持ちを表現してもらう設問を工夫すべきだ」

 「伊藤さんの事件でいじめの現場になったように、トイレは教員の目が届かず、問題が起こりやすい。教員と共有することで『デッドスペース』をなくせる」

 -学校の閉鎖性や保護者への情報提供の不足なども指摘されています。

 「学校行事のときだけ保護者の協力を求めるようなやり方は、単に学校側の人手不足を保護者で補っているだけだ。図書室の運営を任せるなど、保護者に日ごろから学校運営に参加してもらう機会を増やすことで、保護者の関心も高まり、良い意味で学校側の緊張感も生まれる」

 -会員制交流サイト(SNS)の普及など、子どもたちを取り巻く社会環境は、この25年間で大きく変化しました。

 「SNSで無視したり、仲間はずれにしたりするいじめが増え、伊藤さんの事件で顕在化した『不可視化』という問題がより複雑、深刻になっている」

 「新型コロナウイルスの感染拡大で家にいる時間が増え、子どもたちがSNSに充てる時間も増えている。将来への不安感が他者への加害につながるケースもある。これまで以上に注意が必要だ」