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【山本一力の人生相談】息子への家庭内いじめ? 心配な母

相談

 70代女性。数カ月前、ひとり暮らしのわが家に50代の息子が来て、私に話した悩みです。

 息子には仕事もそれなりの収入もありますが、お嫁さんは「60万円以上ないとやっていけない」と言い、家の柱に「今月は何万円不足」と張り出したりします。やりくりを頼むため話し合っても、強い口調で5倍くらい言い返され、食事もお嫁さんと子供2人の3人は同じなのに息子は別で、同じテーブルで食事をするのは嫌と言われるそうです。離婚するのに引っ越し費用がいるから、日曜も別の仕事で働いてくれ、とも言われたといいます。奴隷のように働くのもむなしい、妻の要求に応えるだけのお金も準備できない、と言っていました。息子はどのようにしたらいいのか。アドバイスをお願いしたく、思い切ってお便りを出しました。

回答

 この相談の答えは。法的解決に委ねるのが最善だと考える。

 拝読し終えて、物書きが脳裏に思い描いたこと。

 子が息災であれと願う母は。

 時にも場所にも構わず、授かったわが子を案じ続けているということだった。

 わらにもすがる思いと、ひとは言う。この相談者は、まさにその思いで本相談をしたためられたに違いない。

 息子もまた、母の息災を願っていよう。

 齢を重ねた母は、ひとり暮らしだ。難儀な現実を抑え気味に吐露したとて、もはや母にできるのは、ただ聴き続けるだけだ。

 それを承知でいながら、正味を吐き出せる相手は、母だけなのか。

 聞かされた、あまりの非道さに胸を痛めた先に見えた、本欄・人生相談。

 その母に、弁護士に相談したらと、当たり前の回答しかできぬおのれが情けない。

が、一日も早く息子が背負う重荷を下ろさせてやるには、法的な拘束力ある解決に頼るのが最善だろう。

 解決への道筋と手立てを提示できるプロに、相談すべしと助言してはどうだろうか。

 各県単位で、無料電話相談に応じてくれる弁護士会もあると聞く。それらにあなたが相談してみるのも、一助となろう。

 息子は体力勝負の仕事を続け、疲れ果てての帰宅が毎日ではなかろうか。

 しかし帰ったとて、そこに癒やしの場はない…想像しただけでも、過酷の極みだ。

 定年とは人間が思いついた、都合のいい仕組みだ。そんなものなどなかった時代には、ひとは生きている限り働いた。

 子の息災を願う母の想いにも、定年など、あるはずもない。

 どうかあなたに安堵(あんど)が訪れますように。

回答者

山本一力 作家。昭和23年生まれ。平成9年「蒼龍」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。14年「あかね空」で直木賞受賞。近著に「牛天神 損料屋喜八郎始末控え」(文芸春秋)、「長兵衛天眼帳」(角川書店)、「ジョン・マン7 邂逅(かいこう)編」(講談社)、「後家殺し」(小学館)など。

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