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長崎・海星高生らが学校側に説明求め署名活動!

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2017年4月に長崎市の私立海星高2年の男子生徒=当時(16)=が自殺した問題は、第三者委員会が約1年4カ月の調査を経てまとめた「いじめが自死の主たる要因」との報告書を、学校側が否定する異例の事態が続く。「もう一度、誇りある母校を取り戻したい」。こうした思いで在校生や卒業生らを含む有志約10人は今年2月、「海星在校生と卒業生の名誉回復を目指す会」を結成。社会に対する説明責任を果たすため、学校側に記者会見を求める署名活動をオンラインで始めた。彼らの思いは届くのか―。(共同通信=石川陽一)

 ▽崩れ去った母校への誇り

 活動は署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」を通じて実施、「今すぐ賛同する」という表示をクリックし、氏名とメールアドレスの登録で誰でも簡単に署名できる。

求めているのは記者会見を開き、

①第三者委の報告書を拒否する理由

②自殺原因についての見解

③遺族への対応が適切だったのか

④再発防止の取り組みと具体的な成果―の4点を説明することだ。

集まった署名は3月中に海星高の武川真一郎(たけかわ・しんいちろう)校長と、学校法人海星学園の坪光正躬(つぼこう・まさちか)理事長に提出する。

 「先生方は大人として、教育者として、自分たちの態度を恥ずかしく思わないのかなと疑問に感じる。事実と向き合う覚悟を社会に示してほしい」。

署名活動に参加した同校3年の男子生徒(18)はそう胸中を語る。

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署名サイトはこちらhttp://chng.it/hLp4C9ppDC

 海星高は創立約130年の歴史を持ち、甲子園常連の野球部を筆頭に部活動が盛んだ。

男子生徒は中学時代から憧れていたという同校に入学後、進路を真剣に考えてくれる教員にも巡り合った。

伝統校の一員であることはアイデンティティーであり、誇りだった。

 だが、その思いは根底から覆る。昨年11月、スマートフォンで見た1本の記事。

自殺の約1週間後、教頭だった武川校長が遺族に「突然死ということにしないか」「転校したことにもできる」と提案し、長崎県学事振興課の当時の担当者も後に「突然死までは許せる」と追認していたことを、共同通信が報じていた。

 ▽タクシー運転手に「海星はだめだね」

 まだ入学前の17年に自殺した先輩がいることは聞いていた。

詳しい事情までは知らず、学校側は誠実に対応しているものだと思い込んでいた。

三者委の報告書を受け入れていないことも記事で知り、抱いた感想は「なんだこれ。

事実なら人としてあり得ない」。

驚きながら読み進めると、「とんでもない学校だ」「つぶしてしまえ」などと何千件ものコメントが寄せられていた。

中には在校生や卒業生の人格を否定する明らかな中傷も含まれており、「世間からはそう見られているのか」と気持ちは沈んだ。

 実際に街で学校に対する批判を直接ぶつけられた経験もある。昨年末ごろ、通院のためにたまたま乗ったタクシーの車中でのことだ。

運転手は海星高の制服を着た男子生徒を見るなり「海星の生徒なんだよね? 海星はだめだね」と声を掛けてきた。

悔しかったが、学校側の遺族に対する対応を考えれば、何も言い返せなかった。

 長崎県の「突然死」追認が報道された翌日、教室の中は記事の話題で持ちきりだった。

授業が始まる直前まで話し込んでいると、入ってきた教員に「話題に出すな」と強い口調で止められた。一瞬で空気は凍り付いた。

3年生は受験を控えた時期で、推薦をもらう生徒もいる。それから学校内で自殺問題に言及するのは、タブーのような雰囲気になってしまった。

 「また全てを無かったことにするつもりなのかな」。

男子生徒の脳裏に浮かんだある出来事があった。

海星高では19年5月にも校内で別の生徒が自殺している。

その当日の朝、緊急の全校集会で亡くなった事実だけを知らされた。

その後、生徒間では原因についてさまざまなうわさが出回ったが、学校側からの詳しい説明は一度も無かったという。

署名活動をしている有志会の発起人、佐々木大さん

 ▽学校が生まれ変わる契機つくりたい

 「もし自分がいじめに遭っても助けてもらえないのでは、という恐怖を感じた。

一番かわいそうなのはご遺族だけれど、学校側の態度に在校生も傷ついていると理解してほしい」。

自身は3月に卒業式を迎えたが、後輩たちに同じ思いを味わわせたくはない。その一心で声を上げようと決めた。

 有志会の発起人となった長崎市の学習塾経営者佐々木大さん(57)は「肩身の狭い思いをしている学校の関係者は他にも多いはずだ」と指摘する。

自身も教え子の小学生に「海星は自殺を隠蔽(いんぺい)するのか」と問われた経験があるという。「

世間にそう見られるのはこの上ない不名誉だ。署名活動に海星高を糾弾する意図はない。

学校が生まれ変わるための契機をつくりたい」と強調した。

 今年1月には、17年に自殺した生徒の20歳の誕生日に合わせ、共同通信を通して母親が手記を公開した。

(記事はこちらhttps://this.kiji.is/723069554938822656?c=39546741839462401

 男子生徒は全文を読み、こう感じたという。

「ご遺族は子どもを失ったことで学校側を責めているわけではない。

事実と向き合い、いじめが無い学校になってほしいと言っているだけだ。なぜ先生方は受け入れられないのか」

自殺した男子生徒の祖母から贈られたという成人祝いを手にする母親=1月、長崎市

 学校側は署名活動について、在校生や卒業生が参加しているかどうかは「把握していない」と説明。

表現の自由の一環として止めることはできない」とも話し、参加者に罰則などを科す考えはないと明らかにした。

 ▽取材を終えて

 海星高は校訓として「神愛・人間愛」を掲げている。カトリック・マリア会が経営するミッション・スクールだ。

取材に応じてくれた男子生徒によると、授業で「隣人を自分のように愛しなさい」と何度も説かれるという。

これらの教育理念と自殺した生徒の尊厳や遺族の気持ちを踏みにじる対応とは、完全にかけ離れている。

 子どもの立場は学校の中では圧倒的に弱い。

それでも声が上がったという事実を重く受け止めるべきだ。学校側からの報復を恐れ、在校生が表立って活動しにくい現実もあり、署名は思うようには集まっていない。

ぜひ読者の皆様にも協力していただき、彼らの勇気を応援してあげてほしい。

 

 

 【海星高いじめ自殺問題】

 長崎市の私立海星高2年の男子生徒=当時(16)=の2017年4月20日の自殺に関し、第三者委員会の「同級生によるいじめが主要因」と結論付けた報告書を、学校側が受け入れていない問題。生徒は加害者とされる同級生の実名入りの手記を残しており、第三者委は一貫校の中学3年時から同級生にからかわれるなどのいじめに遭ったほか、高校進学後には教員から理不尽な指導を受けたと認定。学校側の姿勢を「問題に真正面から取り組む姿勢に欠ける」と批判した。

日本スポーツ振興センターは20年3月、報告書の認定を踏まえ、遺族への死亡見舞金給付を決めた。