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(6)北海道 凍死事件 背景にある いじめ問題 の詳細! (1)~(25)まで

 
 

 

※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。
この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。
爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。
名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

 

 

中学校、教育委員会は「お答えできません」

 結局、退院した爽彩さんと母親は、2019年9月に引っ越しをし、市内の別のX中学校へ転校することになった。
しかし、爽彩さんはイジメの後遺症に苦しめられ、医者からはPTSDと診断された。
ほとんど新しい学校に通うことができず、自宅で引きこもる生活を余儀なくされた。

 

その後1年以上にわたりイジメによるPTSDで悩まされた爽彩さんは、
今年2月13日に失踪すると、3月23日変わり果てた姿で、見つかったのだった。

 爽彩さんと加害者が通っていた地元のY中学校に
イジメについて事実確認を求めたが、
中学校は「個人情報により、個別の案件にはお答えできません」と回答した。
同中学校を指導する立場にある旭川市教育委員会にも事実確認を行ったが、
「個別の案件にはお答えできない」と答えるのみだった。

旭川市教育委員会 ©文藝春秋

Y中学校に在籍していた教師を直撃

 事件当時、このY中学校に在籍していたある教員は、イジメの事実を認め、取材班にこう語った。

「加害生徒には厳しく指導をしました。
泣いて反省する子もいれば、ウソをついてほかの生徒に責任を擦り付けようとする子もいるなど、子供たちの反応はバラバラでした。
爽彩さんがどうやったら学校に戻れるかについて、
教職員間で話し合いを始めた矢先に、転校してしまった」

 A子、B男、C男、D子、E子ら加害少年グループのメンバーは爽彩さんが亡くなったことについて、いま何を思うのか。
取材班は彼らの保護者にアポイントを取り、
保護者同伴のもとで彼らに話を聞いた――。

 

 

「正直何も思ってなかった」

A子とB男は保護者と一緒に取材に応じた

 イジメは常軌を逸するほどエスカレートし、2019年6月には爽彩さんが加害少年ら10人以上に囲まれ、ウッペツ川に飛び込む事件が起きると、警察もイジメの実態を把握するために捜査に乗り出した。

わいせつ画像を送ることを強要した加害少年のC男は児童ポルノに係る法令違反、
児童ポルノ製造の法律違反に該当したが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、
少年法に基づき、「触法少年」という扱いになり厳重注意を受けた。
A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。

爽彩さんの幼少期の写真(母親提供)

爽彩さんへのイジメが発覚してから2年。
中学を卒業し、旭川市内に住む加害少年らから話を聞こうと、
取材班は少年少女の保護者にアプローチをした。
するとA子とB男は保護者と一緒に取材に応じ、
C男とD子、E子は保護者が取材に応じた。

 

わいせつ画像を目にしたことは「あります」

 わいせつ画像の拡散が疑われたA子は現在16歳。
茶髪にピアスという出で立ちで年齢よりも大人びて見える。

――爽彩さんとはどのような関係でしたか?

「友達」

旭川市内を流れる石狩川 

――彼女のわいせつ画像を持っていましたか?

「持ってない」

――A子さんがC男くんに「爽彩さんのわいせつ画像を送ってほしい」
と言ったという証言もありますが事実でしょうか。

「ない」

――わいせつ画像を目にしたことはありますか?

「あります」

 

自慰行為を強要した時の経緯

――公園で爽彩さんが自慰行為を強要された件は覚えていますか?

「……いや。あ、(自分も)いた」

――誰が指示をしていたのでしょうか?

「あぁ、それはD子が言ってた」

――自慰行為を強要されて、爽彩さんは嫌がっていたのではないですか?

「うーん……まぁ、うん」

爽彩さんのお宮参りと百日祝いの時の記念写真。
下のアルバムはエコー写真(母親提供)

――どういう経緯でそうなったのでしょうか?

「えぇ? そのときC男もいたから、C男が写真の件の話を出して、
じゃあできるならここでやってみろよ、みたいな。
確か。それでD子がやれって言った」

――その時、A子さんはどうしていましたか?

「うちとB男は離れてた。その場から。見たくもないし聞きたくもないし」

「どっちにせよ最終的には(自慰行為を)やってるんだから」

――A子さんがイジメの主犯格だったという証言もあります。

「私ではない。
別のZ中学の子(C男、D子、E子)が私を悪者にしている」

――これらの行為をイジメだと思いませんか?

「うーん……別にどっちでもないんじゃないです? 
本人最初嫌がっていたとしても、
どっちにせよ最終的には(自慰行為を)やってるんだから」

――爽彩さんがウッペツ川へ飛び込んだ事件については覚えていますか? 

「あれは(爽彩さんが)自分から飛び込んだ」

――どうしてそうなったのでしょうか?

「どうして? 
わかんないです。
死にたくなったんじゃないですか?」

旭川東警察署 ©文藝春秋

――爽彩さんに向かって
「死ぬ気もないのに死にたいとか言うなよ」
と言っていたという証言があります。

「それは言いました。
周りに小学生いるのに死にたい死にたいとか、
死ぬ死ぬとか言ってて、どうせ死なないのに
次の日またあそこの公園に現れてたから。
小学生にはそういうのはダメでしょ? と思って言ったんです」