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(11)北海道 凍死事件 背景にある いじめ問題 の詳細! (1)~(25)まで

 

※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。
この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。
爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。
名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

 

《市がイジメ再調査表明》

「わいせつ強要の証拠LINEを教頭は写メで撮っていた。

 

4月22日、北海道旭川市西川将人市長は、記者団の前でこう明言した。

「(文春オンラインの)記事を読むまで、私も教育委員会も事実関係についてまったく違う認識をしていた。
もしかしたら私たちが事実誤認をしていたかもしれないという視点から、しっかり調査をする必要がある。
もし、イジメということになれば、これまでの(学校や市教委の)対応に問題があったということになるだろう」

旭川市の西川市長が「再調査」を宣言

 今年3月、旭川市内の公園で積もった雪の中で亡くなっているのが見つかった廣瀬爽彩(さあや、当時14歳)さん。
死因は低体温症で、警察も自殺とは認定しなかったが、「文春オンライン」では4月15日から6本の記事を公開。
その死亡の背景に上級生らからの凄惨なイジメがあったことを報じた。
その記事が反響を呼び、旭川市にイジメの再調査を求める声が殺到。
それを受けて、ついに旭川市の西川市長が爽彩さんが生前にイジメを受けていたかどうかを再調査すると宣言したのだ――。

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文春オンラインが報じたのは、
2019年4月から6月に起きた、
爽彩さんが当時通っていた
Y中学校の上級生A子、B男らによる性的な動画を拡散するなどの悪質なイジメ被害の実態
記事公開の直後から旭川市教育委員会などには300件以上の問い合わせが相次いだ。

 

事態を重く見た旭川市は、4月22日、対応を話し合う総合教育会議を開き、2019年当時は「イジメはなかった」としていたY中学校の調査結果を見直し、
改めて、当時「イジメがあったのかどうか」再調査すると決めた。

 

旭川市教育員会」「Y中学校」の対応が改めて調査される

 西川市長は教育長に旭川市教育委員会とY中学校側の対応を改めて調査するよう指示。医師や臨床心理士、弁護士らに委託して、第三者で作るいじめ防止等対策委員会を設置し、調査を開始する方針を示した。

 

報道から1週間。
事態はようやく動き出した。
爽彩さんの遺族は市の再調査決定をどのように受け止めているのか。
あらためて現在の心境を聞いた。

 

母親は4回も「娘はイジメを受けているのでは」と学校に訴えた

 爽彩さんは今年2月13日、氷点下17℃の夜に自宅を飛び出して行方不明となり、3月23日に変わり果てた姿で見つかった。
爽彩さんは医師からイジメによるPTSDと診断され、失踪直前までそのフラッシュバックに悩まされていた。

 2019年4月、市内のY中学校に入学した爽彩さんは、ほどなくして
上級生のA子、B男、Z中学校に通うC男らからイジメを受けるようになった。
爽彩さんの母親は、4月から6月の間に4度、
学校に対し「娘はイジメを受けているのではないか」と訴えたが、
担任の教師はまともに取り合わなかった。

飛び込み事件が起きたウッペツ川 ©文藝春秋

 同年6月、爽彩さんが地元のウッペツ川に飛び込む事件が起きたのちに、
警察が捜査に乗り出し、加害生徒らが爽彩さんに無理やり撮らせたわいせつ画像をイジメグループ内で拡散していたことや、公園内でイジメグループが複数名で爽彩さんを囲み、自慰行為を強要していたこと等が明らかになった。
わいせつ画像を送ることを強要した加害少年のC男は児童ポルノに係る法令違反、児童ポルノ製造の法律違反に該当したが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、少年法に基づき、「触法少年」という扱いになり厳重注意を受けるのみにとどまった。
A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。

学校は「校内ではないのでイジメと認識していない」と回答

 これらの事実が警察の捜査によって明るみに出たため、爽彩さんの母親は学校側に対して再び、「イジメの事実があったのかどうか」改めて調査するよう訴えてきた。
しかし、2019年夏、学校側は最終的に「わいせつ画像の拡散は、校内で起きたことではないので、当校としてはイジメとは認識していない」「加害生徒にも未来がある」などと答え、イジメの事実について否定。
あくまで生徒間の「トラブル」だったとして、加害生徒に「適切な指導」を行ったとした。

 旭川市教育委員会も同時期に、学校や北海道警察、関係者から聞き取りを行ったものの「イジメの認定には至らなった」と結論付けていた。

Y中学校 ©文藝春秋

 今回の市長の発表は、こうした学校側の対応に行政の側から疑問符を投げかけた形だ。今後、第三者委員会を通して、真相の究明が進むことが望まれる。

 

「再調査はテレビのニュースで初めて知りました」

 一連の発表を受けて、爽彩さんの遺族が文春オンラインの取材に応じた。
遺族は「再調査に期待する一方で、爽彩さんの問題について何らかの対応をする』ということを聞いていました。
実際に、第三者委員会を設置し、再調査を開始すると決まったことは会見当日の夜、テレビのニュースで初めて知りました。
市の教育委員会からは翌23日に弁護士を通じて連絡があり、改めて『イジメがあったか調査する』と伝えられたそうです。

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爽彩さんが小さい時の写真

 

ただ、母親が不安に思っているのは、その調査方法です。
まだ具体的にどのように調査するかは知らされていませんが、当時の関係者への聞き取り調査が行われるのだとしたら、イジメがあったのは今から2年も前のことです。
詳細を加害生徒たちは覚えているのでしょうか。
記憶が曖昧になったりして、事実とは違う証言が飛び出し、情報が錯綜してしまうかもしれません。
また、都合の悪いことについては、ごまかしたり、黙秘を貫くこともあり得るのではないでしょうか。

 

自慰強要が記載された「調書」の開示を学校は3度も拒否

 第三者委員会の方にむしろ注目してほしいのは、2019年6月から8月にかけて、Y中学校が加害生徒から『イジメの有無』について聞き取った調書です。
これはA4用紙30枚ほどからなる冊子にまとまっているはずで、爽彩がわいせつ画像を拡散されたことや、イジメグループに公園で囲まれて、自慰行為を強要されたことについて、加害生徒らが証言した内容が記載されているとされます。

 なぜ、その調書の内容について、曖昧な言い方しかできないかというと、
これまで母親は学校と教育委員会の双方に対して、この調書の開示請求を3度行ってきましたが、すべて拒否され、我々はその内容を一文字も知ることができなかったからです。

「なぜ中学校はあれほど不誠実な態度だったのかを知りたい」

 23日に弁護士を通じて説明した教育委員会の方によると、今後実施される第三者委員会の調査については終了後、結果を報告するが、2019年の調書の公開については、『今後検討する』というニュアンスでした。
しかし、母親は、事件当時に学校がどんな調査を行って、どういった認識のもと、あのように不誠実な態度をとってきたのかを知りたい。
三者委員会の方には、その点を何よりも重視して調査していただきたく思います。
そして、できれば調査終了後に、2019年の調書についても我々に公開してほしいと思います」

 遺族によると、2019年6月、ウッペツ川への飛び込み事件が起きた翌日、爽彩さんの母親はY中学校の教頭から呼び出しをうけた。
この時のやりとりも「第三者委員会の調査の判断の決め手」となるのではないかという。

ウッペツ川 ©文藝春秋

教頭は証拠LINEを撮影し「調査します」と言ったのに…

「母親は、事件後、爽彩の携帯電話のLINEを確認し、加害生徒にわいせつな画像を送らせられたり、脅されていたことを知りました。
そのメッセージについて、警察に相談に行こうとしたのですが、その前にY中学校の教頭にも『こういうものが見つかった』と報告したのです。
教頭からは『イジメの証拠はあるんですか? 
あるなら警察へ行く前に見せてください』と言われ、学校のミーティング教室で爽彩がわいせつ行為を強要されているLINEの画像を直接見せたそうです。

教頭は『写真を撮らせてください。すべて調査します』と、イジメの証拠となるLINEメッセージや画像を1枚1枚、携帯電話のカメラ機能を使って撮っていました。
母親はY中学校を信頼して警察よりも先に相談したのです。
あの証拠のLINE画像をY中学校は間違いなく把握していた。
それなのになぜ『イジメはない』という結論に至ったのか、真相を必ず明らかにしてほしいです」(同前)

 旭川市がイジメの再調査をすると発表した翌日の4月23日、爽彩さんが最期を迎えた公園には生花が供えられていた。
親子連れが手を合わせていたほか、ずっとその場を離れず涙する保護者もいた。

爽彩さんの遺体が発見された公園に供えられた花束 ©文藝春秋

 正当な調査がなされることを爽彩さんの母親をはじめとする遺族、
そして子を持つ多くの保護者が願っている。