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(18)北海道 凍死事件 背景にある いじめ問題 の詳細! (1)~(25)まで

※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。
この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。
爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。
名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

暴力団と関わりがあるようにネットで騒がれた

 旭川市内で、自動車店「GARAGE VOX」を営む宮川匠さん(48)一家はネットであらぬ疑いをかけられ、東容疑者から電話で“直撃”を受けた。
宮川さんの息子は爽彩さんをイジメた加害生徒であるC男が通ったZ中学校の卒業生だ。

今回のイジメ事件の報道があってから、どういうわけか宮川さんの息子は加害者グループの一員だったと「断定」され、家族全員の実名や自宅の住所まで晒され、犯罪者集団のような扱いを受けた。

 しかし、宮川さんの息子は加害生徒のグループとは学年も違い、
爽彩さんと関わりがないことは、爽彩さんの遺族も断言している。
宮川さんが語る。

 

「うちは21年間、地道に真面目に商売をしてきました。
それなのに暴力団と関わりがあるようにネットで騒がれ、東容疑者にそうした間違った情報を拡散されてしまったため、仕事にも影響が出ています。
東容疑者は先週末、突然店に電話をかけてきました。
そして、私の息子をイジメの加害者扱いした上で、『取材させてくれ』と迫ってきました。
『うちは関係ないので(家に)来ないでくれ』
『そんなに話をしたいなら第三者がいる警察の前で話をしよう』と伝えると、
そこで電話は切れました。

 東容疑者は結局、店にはやってきませんでしたが、自身のツイッターで一方的に店の写真を公開すると、息子の顔写真が晒されました。
息子は『事件の主犯』扱いされ、『さすがにこれは酷い』と電話で伝えたら、ツイッター上から息子の顔写真は削除されました。

 ですが、既に東容疑者の投稿した息子の写真や名前がネット掲示板や別のユーチューバーによって次々と拡散されてしまいました。
今でも毎日のように嫌がらせの電話が店にかかってきます。
見慣れない、地方ナンバーの車が店の前をウロウロするようにもなりました」

 

取材中に宮川さんをあざ笑うようないたずら電話が…

「主犯扱い」されてしまった宮川さんの息子も肩を落とす。

「事件とは全く関係ない僕の友人までネットで晒されていて、犯人扱いをされています。僕は事件があった公園がどこであるかすら知らないし、爽彩さんの顔も知りません。
そもそも(爽彩さんがイジメを受けた際に在籍していた)Y中学の人間との関わりもなかった」

宮川さんの息子は加害者グループの一人と勘違いされ、顔写真まで晒されてしまった

 取材班が宮川さんに話を聞いている間にも、
宮川さんの店にイタズラ電話がかかってきた。

 

「また……来ました」

 宮川さんが重い腰を上げて、受話器をとると、電話の向こうからはあざ笑うような声が聞こえてきた。

「多くの書き込みは既に削除され、東容疑者本人からの謝罪は一応ありましたが、
あとの祭りです。
謝って消せばいいという問題じゃない」

 

宮川さんは深いため息をついた。

 

dさんは爽彩さんとトラブルになったことはあるが…

 ネットに実名を晒された無関係な生徒は、宮川さんの息子だけではない。
事件当時、Y中学校に通い、爽彩さんがY中学校を転校した後も、彼女を支えた数少ない友人であるdさんも、ネット上では、「犯人グループ」の一人として名指しされている。
dさんの実名が広く晒されてしまったのは、ある人気ユーチューバーの生配信中に飛び込みで電話出演した「Y中学校の同級生」を名乗る人物の発言がきっかけだった。

この人物が、dさんが「犯人グループの一人」であると“匂わせた”ことから、ネット上で一気に実名が拡散してしまったのだ。

dさんは疲れた表情を見せながら、話をしてくれた。

「僕は、2019年4月、爽彩さんがY中学校に入学した当初に、彼女と親しくさせてもらっていました。
その際に、爽彩さんに対してトラブルを起こしてしまったことがあります。

そのことについては、爽彩さんから後日許してもらい、爽彩さんのお母さんにも説明して、理解してもらっています。

爽彩さんがdさんへ送った絵

 僕は爽彩さんのイジメ事件には一切関わっていません。
むしろ僕もイジメグループのある人物からパシリまがいなことをさせられていた時期がありました。
イジメのことがあって、爽彩さんがX中学校に転校してからも、時々、手紙のやり取りをして、互いに励まし合っていたんです。

 

実名を出され、犯人扱いされるのはさすがに辛い

 ただ、爽彩さんと僕との関係性を知らないY中学校の同級生からは、トラブルをおこした僕は犯人グループと一緒に見えたのかもしれません。
爽彩さんがウッペツ川に飛び込んだときも、学校や警察に呼ばれて事情を聞かれました。
でも、僕はあの現場にはいなかったし、一切関わりはありませんでした。

 爽彩さんが受けた酷い出来事について、僕はむやみに広めたくなかったので、爽彩さんのことはこれまであまり語らずにいました。

ですが、イジメ事件について報道があってから、真相を知らない同級生が、ネットの人たちに乗せられて憶測で言いたいことを話すのには耐えられない。
実名を出され、犯人扱いされるのはさすがに辛いです」

爽彩さんが亡くなる2か月前にdさんへ送った手紙

 亡くなる2カ月前にdさんの元へ送られてきた爽彩さんからの手紙には、dさんへの感謝の言葉と共に絵が描かれている。
dさんがイジメ事件には関わっていないことは先ほどの宮川さん同様、爽彩さんの遺族が断言した。

現在dさんは、ノイローゼ気味となり、連日不眠に悩まされている。
宮川さんやdさんは既に警察や弁護士に相談しており、被害届を出すことを考えている。

 

 元埼玉県警刑事部捜査第一課所属で、
デジタル捜査班班長をつとめた佐々木成三氏が解説する。

 

「事件とは無関係であるにもかかわらず、
実名や顔写真などの個人情報を流した場合は名誉毀損罪及び侮辱罪に問われる可能性があります。
また(宮川さんのように)、店舗に繰り返し何度もイタズラ電話がかかってくるケースでは業務妨害罪にも該当する。

間違った情報であっても、どんどん拡散されてしまうのはツイッターなどの特性ですが、そうした『名誉毀損』の書き込みをリツイートしただけでも、民事裁判を起こされた場合は、損害賠償の対象になり得ます。
また、嫌がらせをする目的で待ち伏せをしたり、つきまとう行為は迷惑防止条例違反に該当します。
ただ、現在ネットで横行している“晒し行為”の一番怖い点は、それが名誉毀損にあたることを拡散している当人が分かっていないこと。

つまり当人に違法性の認識が低いことですね」

ネットリンチは形を変えたイジメ。
遺族は望んでいない

 今回、取材に応じてくれた宮川さんやdさんの他にもあらぬ疑いをかけられ、犯人グループの一員として実名や写真をネット上に晒された無関係の生徒は複数存在する。
爽彩さんの親族が胸の内を吐露した。

「事件を知ってくださった方々が爽彩のことを考えてくださるのは本当にありがたいです。ですが、今はこれからはじまる第三者委員会の調査の結果を信じて待ちたいと思います。
ネットリンチもまた、形を変えたイジメであり、我々は望んでいません。
事件と関係のない方までもがネット上に晒されてしまう現状に胸が苦しくなります」

 亡くなる直前、ネットが家庭以外の唯一の居場所だった爽彩さん。
ネットを通して新たな「被害」が生まれてしまうことは彼女も決して望まないだろう。