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孤立無援で極限状態、中3いじめ自殺2年「教員が見守れていれば」

報告書をまとめるまでの経緯を記す会議録の一部。「学年主任は何をやっているのか」「フィードバックができていない」といった厳しい意見が飛び交う

報告書をまとめるまでの経緯を記す会議録の一部。「学年主任は何をやっているのか」「フィードバックができていない」といった厳しい意見が飛び交う

 

 

頑張り屋の優しい男の子が亡くなったのはなぜだったか。岐阜市で男子生徒のいじめ自殺問題が起きて3日で2年。第三者組織が報告書をまとめるまでの会議録を岐阜新聞社は情報公開請求し、明かされなかった真実をたどった。市教育委員会が開示した資料には、原因をいじめと断定していく過程が記されていた。教員の対応を問題視する声が相次ぎ、「周りが少しでも見守れていれば」といった、やり切れない思いがにじんだ。

 市教委は弁護士や臨床心理士ら5人で組織した第三者組織のいじめ問題対策委員会(橋本治委員長)を設置。問題発生の9日後に第1回会合を開くと、その年の12月に報告書を公表するまでに15回、非公開で協議した。弁護士4人が補助員として加わり、生徒57人、教職員33人、市教委6人に手分けして聞き取り、34件のいじめの事実認定につなげた。

 会議録によると、委員らは部屋に花を置いたり茶や菓子を用意したりするかといった、安心して話してもらえる環境づくりに腐心していた。物的証拠がない中で、断片的な証言から一つ一つの行為の判断に議論を重ねた。具体的なやりとりは資料では黒塗りとされたが、目撃証言が少ないことからいじめとして認定できなかった行為が複数あったとみられる。

 亡くなった生徒が通ったのは、岐阜大教育学部の教育実習生を受け入れる「実習校」の一つ。「激務で若い男性じゃないと厳しい。女性や年配の先生は行きたがらない」「多忙で余裕がないのでは。事なかれ主義で何とか丸く収めたいという感じ」「不登校生徒が多い。同じクラスに3、4人いた気がする。要因は先生の業務量では」-。教員の多忙さに着眼点が置かれた。

 担任が同級生の告発から加害者や被害者に事情を聞いていながら、管理職に情報が共有されていなかったことなどから、校内の連絡体制を問題視する声が相次いだ。「組織として機能していない」「申し訳ないがこの学校だけではないと思う」。他の学校でも同様の事態が起こり得るとの疑念を抱いていたことがうかがえた。

 委員会は証言を基に、自殺の原因をいじめと断定していく。亡くなった生徒について、「孤立無援の状態で極限状態が続いていた。メンタルが通常じゃあり得ないような状態になっていた」「その場所から彼を引き離さない限り常態化してしまう。いじめにはそういう怖さがある」。

 最後まで聞き取りに応じなかった加害の中心生徒に関するやりとりには無念さがにじんだ。橋本委員長は「受けてもらえるかは別として(加害の中心生徒に)手紙を出そうと思う」と協力依頼を提案していた。

 文言など細部にわたって検討を重ね、まとまった報告書。「相談しやすい環境をどうつくるのかが一番大きな課題」「子ども目線での対応が必要だ」。委員は再発防止を願った。