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2021-08-19

横浜市教諭が小4女児に行った、陰湿イジメの全貌

「N先生に連れられ戻ってきた時、涙でビショビショに…」

横浜市のM小学校4年生の担任だった40代の男性N教諭が、特定の児童に対して「配布物を渡さない」「行事で役割を与えない」「給食を少なく盛る」など執拗ないじめを繰り返し、不登校に追い込んでいた。

 いじめを受けたその山本美咲さん(仮名=当時9歳)がこれらのことを両親に打ち明けはじめたのは、4年生になって約10カ月過ぎた今年2月のこと。両親はすぐに学校に話したが、学校の対応は二転三転。

 他の児童へのいじめの疑惑も浮上しているが、N教諭に「異動」などの処分は下されていない。美咲さんの両親に話を聞いた。

朝起こそうとすると抵抗し、登校を渋るように

 昨年4月、横浜市のM小学校4年生に進級した山本美咲さん(仮名=当時9歳)は、1年生から3年生までほぼ無欠席で、通知表では「はつらつ」と書かれ、学級活動などでの積極性や発言力を評価する所見が書かれていた。しかしコロナ禍による休校の後、5月に分散登校をはじめてしばらくすると様子が変わりはじめた。美咲さんの父親が振り返る。

「それまでの明るさが次第に消え、わざと音を立ててドアを開け閉めするなど、家の中では反抗的になりました」

※写真はイメージ ©iStock.com

6月に入ると、担任であるN教諭について「厳しい」「怖い」「宿題を出さないとやばい」と言い出した。

 次第に、美咲さんは朝起こそうとすると体に力を入れて抵抗し、登校を渋るようになった。登校しても保健室へ行くようになり、学校から母親に「体調が悪いので迎えに来て下さい」と連絡が来るようになる。

「分散登校もあり、情緒不安定になっているとは思っていました。後に、N教諭はわざと美咲に配布物を渡していなかったことが分かるのですが、この時は知らず、美咲が『プリント(配布物)が無い』と言っていた時は、『失くしたんじゃないのか?』と怒っていたぐらいで……。

『先生が怖い』と言い出した時は、厳しい先生もいると思っていたのです。N先生は、上半身が少しがっちりしていて、目つきが少し鋭いくらいで、特に印象の残らない、普通の人。まさか、その先生にいじめられているなんて想像したこともありませんでした」(父親)

 美咲さんが耐えられなくなり、両親に打ち明けたのは進級して10カ月後、年が明けた2月のことだった。

「帰宅して、『ママ、助けて。もう学校に行けない』と言い出し、N先生にいじめられていることを初めて打ち明けたのです。少しずつ話した内容は信じられないものばかりでした」(母親)

“配布物飛ばし”、給食のおかずは二口程度しか盛られない……

 1つは、「M小通信」「学年だより」「時間割」などの配布物を、N教諭が美咲さんに渡さないことだった。美咲さんの席は最前列だったが、N教諭は配布物を配る際に、美咲さんを飛ばして2列目の児童に渡し、3列目、4列目の児童……と配っていた。

 こうした配布物飛ばしは繰り返されていたが、美咲さんはN教諭への恐怖心から「(配布物を)ください」と声を挙げることができなかったという。

 他にも、授業で使う備品を他の児童には貸し出すが美咲さんには貸し出さないことや、パソコンを使う授業で常に「山本(美咲)さんの分はありません」と言われ、パソコンが割り当てられなかったこと、そして給食を少なく盛られていたことなどが、美咲さんの話や別の児童の親づてに聞いた話で判明したという。

「給食は主に当番の子が盛っていたようですが、N教諭が『山本(美咲)さんは少なくして』と言うため、少量しかおかずが盛られなかったようです。美咲に『どのくらい?』と聞くと、本当にわずか一口、二口程度の量を手で示しました」(父親)

 いじめは、行事の準備の際にも起きた。年度末に行われる「6年生を送る会」の準備では、6年生に花束を作る、模造紙に送る言葉を書いて飾りつけをするなどの作業があり、N教諭は希望者を教室の前に集めた。美咲さんも手を挙げて作業に参加することを希望したが、美咲さんだけ割り当てられなかった。

 この時、美咲さんは勇気を出してその理由を聞こうとしたが、N教諭は「コピーを取って来ます」と言ってさっさと教室を出て行ったという。6年生を送る会が行われた3月17日、美咲さんは泣き出して学校へ行くことができなかった。

「探しなさい」一人だけテストを受けさせてもらえず……

 決定打となったのは3月4日の出来事だ。

 美咲さんはこの頃不登校気味になっており、この日は給食の時間が終わった後に登校した。5時限目は理科と社会のテストの予定だったが、N教諭は、美咲さんが漢字テストの直しを提出していないとして「探しなさい」と指示した。

 クラスでは漢字テストを行った翌日、書けなかった漢字を書き入れた直しを回収カゴに入れることになっていた。

回収カゴになければ机の中、後ろのロッカーの中ぐらいしかない。美咲さんは回収カゴに入れたと思っていたが、N教諭に反論することができず、他の児童がテストを受けている間、ウロウロして探すふりを続けたという。その間、N教諭が美咲さんに声をかけることはなかった。5時限目が終わると、美咲さんに「いつまで探しているんですか!」と言い放ったという。

「その日、美咲は『(漢字テストの)直しを出さないと怒られる』と言って、遅刻したけれど学校に行ったのです。直しは出したと言っています。仮に提出していなかったとしても、1人だけテストを受けさせないほどのことなのでしょうか」(父親)

 この日以降、美咲さんはN教諭への恐怖心から、登校しても教室に入ることができなくなった。

3月8日、両親が美咲さんを心療内科に連れて行ったところ、「傷病名:適応障害。抑うつ気分、意欲低下等のうつ症状が出現しているため、当面のところ保健室登校もしくは自宅療養が望ましい」と診断された。話を聞いた医師は「N教諭とはもう関わりを持たせない方が良い」と助言した。

 N教諭の執拗ないじめについてはその後両親の追及により、6月に緊急保護者説明会が開かれることになる。ここで初めて事態を知った他の親が子どもに聞き、新たな話が美咲さんの両親に次々と伝わって来た。

N教諭に連れられ戻ってきた美咲さんは、涙でびしょびしょに

 たとえば昨年夏ごろ、N教諭が美咲さんを廊下に連れ出し、外から教室の窓をすべて閉め、ドアにカギを掛けて教室にいる児童が外に出られないようにしたという。このことを親に話した児童は恐怖でお腹が痛くなり、トイレに行けずに困った児童も出た。

 N教諭が美咲さんをどこに連れて行ったのか分からなかった。しばらくしてN教諭に連れられて戻って来た美咲さんは、涙で服がびしょびしょに濡れていた。この児童は「どのくらい泣いたんだろう」「どのくらい怒られたんだろう」と思ったという。N教諭は何も言わず、「授業をするぞ」と言った。この児童は親に「N先生が怖くて話せなかった」と打ち明けた。

 美咲さんには、授業で使うプリントも長期間渡されていなかった可能性が出ている。

「学校に行くのは死にに行くようなもの」

 6月末になり、美咲さんは「これが証拠」と言って両親にノートを見せた。昨年11月24日付けのページに授業で使ったと見られるプリントが貼られていた。以降のページにはプリントが貼られていなかった。

「授業で必要なものも渡されず、実質、授業を受けられなかったことが数多くあったようです。美咲は『どうせボケッとしているだけ』と漏らしたことがありましたが、授業を受けられなかったことを指していたのです」(父親)

 美咲さんは「学校に行くのは死にに行くようなもの」とも言っていたという。

そして最近になり、学校のトイレでよく泣いていたこと、机の下で自分の腕をつねり、我慢していたことを打ち明けた。

 3月頃、美咲さんの母親は同じクラスの女児に、N先生のクラスでは「行動が遅いとプリントをもらえない」と聞いていた。しかし、小学校3年生まで美咲さんの行動が遅いと指摘されたことはなかった。

 6月に開かれた緊急保護者説明会では、美咲さんに対してだけでなく、他の児童に対してもいじめがあったことが明らかになった。後編では、学校側の対応の経緯と、緊急保護者説明会の様子を詳述する。

※美咲さんの両親の要望により、記事中の一部記述と画像を変更しました

「何が問題なのですか?」と聞かれたことも…学校側への対応への疑問

 現在の小学校には、担任を持たずに児童のケアに専念する児童支援専任の教諭がいる。児童支援の教諭の職には、ベテランの教諭が就くという。美咲さんの母親も、何かあれば児童支援の教諭に相談していた。

 2月末、ある配布物が渡されなかったことを聞いた母親が相談すると、児童支援の教諭は「N先生に伝えておきます」と言った。N教諭にどのように伝わったのかは不明だが、数日後、N教諭は美咲さんに向かって「あなたは、もらったかもらっていないかも分からないのですか?」とクラスの皆の前で叱責。後日、その配布物は、児童支援の教諭を通じて母親に渡された。

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3月4日、漢字テストの直しが提出されていないとして美咲さんだけ理科と社会のテストを受けることができなかった。この日以降、美咲さんはN教諭への恐怖心から教室に入ることもできなくなったが、母親が相談した時、児童支援の教諭は聞き入るばかりだった。

 その後、提出したはずの漢字テストの直しを児童支援の教諭が探すことになり、何回か両親とやり取りしたが、説明には矛盾があった。母親が学校への連絡帳に、話の矛盾点なども書いて改めて説明を求めると、児童支援の教諭は一言も書くことなく、ただ印鑑を押しただけで返却して来たという。

 3月半ば、児童支援の教諭は、N教諭のいじめが原因で美咲さんが保健室登校になっていたにも関わらず、学年末を理由に「N先生に感謝の手紙を一緒に書こう」と言い出した。

「校長にも相談して面談もしましたが、児童支援の教諭も校長も、“こんなことは大したことじゃない”という態度のように見えました。児童支援の教諭には一度、『何が問題なのですか?』と言われたこともあります」(父親)

 3月22日、両親は弁護士を通じて学校に内容証明郵便を送り、それまでに分かったN教諭の行為の確認と共に、N教諭の処分を求めた。内容証明郵便を送って初めて、校長と児童支援の教諭は態度を変えたという。

3月31日、学校側は10ページにわたる回答書を出した。

「このたびは、美咲さんに大変辛い思い、悲しい思い、苦しい思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした」。回答書はこう始まり、学校が確認したN教諭によるいじめの内容が書かれている。

 しかしそれは両親を納得させるものではなかった。

行事で美咲さんに役割が与えられなかった件については、「(美咲さんに)分担する前に仕事がなくなってしまい、美咲さんに割り振ることができませんでした」と回答した。しかし美咲さんによれば、その後になって役割が与えられた児童がいたという。

 給食を少なく盛ることについては、「個々の児童に合わせて給食の量を調整することをしていました」と前置きし、「美咲さんは時間内に食べられないことがあったため、少な目に配食してしまっていたようです」と回答。しかし、父親はこう反論する。

「美咲は小学校3年生まで給食を残したことはありませんでした。昨年春、母親がN教諭らと面談した時に『食欲は旺盛です』と伝えたし、N教諭も『旺盛ですね』と話していました。

 クラスでは普通盛りの列と少な盛りの列があり、あまり食べられないと思った時、美咲は少な盛りの列に並んでいましたが、普通盛りの列に並んでも少なく盛られていたようです。実際、美咲は『こんなんではお腹一杯にならない』とか『足りない』と言っていたのです」(父親)

「N先生の奴隷みたいに扱われている」

 美咲さんの母親はクラスの女児から「(美咲さんは)N先生の奴隷みたいに扱われている」という言葉を聞いており、そのことについても問い合わせていた。回答では「(N教諭は)そのように接したつもりはなかったと言っています」として、「証言をした児童が確認できないため、状況を確認することができませんでした」と答えた。

 配布物については、「美咲さんをとばして2列目から配布することはありました」と認めた。

 配布物に関しては、学校側の説明は二転三転した。配布物が配られないことは、2月の段階で両親が児童支援の教諭に相談していた。3月17日、N教諭の説明として「配布物は児童各自が前に取りに来るスタイルになっている」と聞かされた。しかし両親が調べると、美咲さんのクラスではそのような形ではなかった。

 回答書では説明が変わり、「美咲さんが他のことをしているときに配布してじゃまをしないようにし、作業が終わってから後から取りに来てもらうつもりでした」と回答した。

 しかし美咲さんの話によれば、クラス全員が着席して配布を待っているような時でも、美咲さんは配布物を飛ばされていたという。

教諭を「いじめや虐待では問えない」という理屈

 美咲さんの父親はこう話す。

「私たちが指摘したN教諭の行為について『確認した』と一定程度認めましたが、行為が行われた理由として『配慮が足りなかった』『説明が不足していた』ことを挙げるなど、あたかも悪気はなかったかのような回答でした。N教諭の行為はそんなレベルではなく、『いじめ』『虐待』です。しかしそれは認めず単に『不適切な指導だった』としたのです」

 4月14日、両親は学校の回答書に対して反論書を出すと共に、市立学校の教諭に対する人事・懲戒権を持つ横浜市教育委員会に書面を出し、事実関係の調査とN教諭の処分を求めた。

「4月25日に横浜市教育委員会の指導主事と面談した時、教育委員会が『学校に入ります』と言われました。これで対応してくれると期待しました」(父親)

 しかし2週間後の5月11日、教育委員会の指導主事と面談すると、「先生が行った行為は『いじめ』『虐待』とは言わない。法律上もそうなっている」と言われただけだった。

「いじめ防止対策推進法」では加害者を「児童等」に限定しており、「児童虐待防止法」では加害者を「保護者」に限定している。法律上、教諭をいじめや虐待では問えないという理屈を繰り返すだけだったのだ。

 この間、両親は学校に派遣されてくるスクールカウンセラー、児童相談所、そして警察まであらゆる所に相談したが、話を聞いてくれないか「教育委員会へ話して下さい」と言われるだけだった。

「教師による児童へのいじめについては、相談できる外部の機関がないことも分かり、呆然としました」(父親)

対応が一転、「配布物を渡さなかったことを確認」

 5月31日、両親の反論書に対して校長が2回目の回答書を出した。

 配布物について、N教諭が美咲さんを含めて「数名の児童に対して配布物を渡さなかったことがあったことを確認しました」として、配布物を渡さなかったことに対するN教諭の弁明が二転三転したことも認めた。

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2回目の5月31日付の学校の回答書(N教諭が特定の児童に配布物を渡していなかったこと、漢字テストの直しを提出していないことを理由にテストを受けさせなかったこと認めている)

 

給食については、N教諭は「美咲さんにのみ少なく盛っていたという認識はなかったと述べています」とした一方で、「美咲さんの他にも給食の量に差を付けられていたと感じていた児童がいたことも確認しました」と書かれた。

 また、N教諭は「特定の児童を対象として、特に厳しい指導を行ったという認識はなかったと述べています」とした一方で、美咲さんと同じクラスだった児童から、N教諭が「特定の児童に対して特に厳しい指導を行っていたという発言がありました」と書かれた。

 こうして両親の指摘を新たに事実として認める一方で、「いじめ」「虐待」である旨は認めなかった。

 2回目の回答書が出された後、学校側は一時、N教諭の行為について「いじめ」「虐待」であったことを認める方針に変えている。

 回答書をもらった時、両親は「重大なことが判明した」と言われて6月3日に学校側と面談することになっていた。

昨年6月、学校が全児童を対象に「心と体のアンケート」を実施した。美咲さんの回答には、心のケアが必要と思われる重大な内容が含まれていたにも関わらず、学校は両親に伝えず、美咲さんに対して何のケアも行っていなかったことが判明したという。

 口頭で謝罪した校長は、続けて「追記案」と印字された紙を出してきた。A4判1枚に5行書かれたものだが、「教師が子どもを苦しめたことは、いじめ、虐待であったと猛省しております。深く、深く、謝罪いたします」と書かれていた。しかしこの追記案は、現在まで正式な書面には反映されていない。

「自分の価値観を押し付けてしまった」緊急保護者説明会でN教諭は……

 両親が学校に対応を求めはじめて4カ月過ぎた6月12日、M小学校の体育館で緊急保護者説明会が開かれた。コロナ禍のため各世帯から1人の出席に限られたが、対象307世帯のうち205世帯が出席した。

 

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集まった保護者を前に、中央の演台に校長、向かって右側にN教諭と児童支援の教諭、その後方に15、6名の教員が2列で並んだ。

 司会の副校長が「録音、撮影は控えて下さい」と言った後、校長が「4年生の子供が担任から心理的虐待を受けている調査を進めて参りました」と切り出した。

 学校は4月に入り、旧4年生の児童と面談し、保護者に電話をかけて聞き取りを行ったところ、N教諭は「言葉が厳しい」「態度が怖い」「失敗に厳しい」「プリントが配布されないことがある」「何かあった時に連絡がない」「児童によって対応が違うことがある」等々が確認できたという。

 そして「列の先頭の児童を飛ばしてプリントを配布すること」があり、後からも配布しなかったこと、児童にテストを受けさせなかったことがあったこと、給食の盛り付けでは「希望に沿わない配膳が行われたこと」等々があったと話し、「心から謝罪します。大変申し訳ございませんでした」と述べた。

 ただし「現時点でも、ご指摘を受けながら不明な点が残っております。調査結果につきましては改めて説明する機会を設けさせて頂きます」と付け加えた。

 次に問題のN教諭が立ち上がり、「大変申し訳ございませんでした」と頭を下げた。

 これまでの行為の理由として「児童に対し、こうあるべきという自分の思い入れがあったような、自分の価値観を押し付け、自分の理想に向けて児童を誘導しようという気持ちがあり、そのため態度を厳しくしてしまったことがありました」と述べた。時間にして1分35秒だった。美咲さんの両親は右側の最前列に座っていた。目の前にいたN教諭は両親と目を合わせることもなかったという。

再び校長が立ち、「職員、起立!」と命じた。15、6人の教員が全員立ち上がり、校長が「このたびは本当に申し訳ありませんでした」と言うと、教員全員が頭を下げて口々に「申し訳ございませんでした」と続けた。

「いじめを行ってきたのはN教諭であり、他の教員は関係ありません。それなのに全員に謝罪させるなんて、異様な感じがしました」(父親)

 この後、司会の副校長が「質問のある方は挙手をお願いします」と言い出した。

美咲さんの父親は名乗り出て、これまでに分かった事実と学校側の対応を自ら話すつもりでいた。詳細を書いた書面を作成して保護者に配るつもりで、約200部のコピーも準備していた。

「保護者会に向けて校長とは何度も話しましたし、私自身が話すつもりであることを伝えていたのに、保護者会がはじまると副校長はそれを無視したのです」(父親)

 押し問答の末に父親が立ち上がり、これまでのことを約40分かけて話した。最後に、「N教諭を許すことは断じてできません。横浜市の将来の児童のためにも、二度と、子供たちの前に立たせてはいけないと思います」と締めくくると、会場から拍手が沸いた。

他にもいじめられていた児童がいたことが判明

 緊急保護者説明会では、N教諭による他の児童へのいじめも問題化した。

 実は美咲さんが今年2月に初めて両親に被害を打ち明けた時、「他にもいじめられている子がいる。助けてあげて」と言っていた。

 3月17日、美咲さんの母親は他の児童へのいじめについても聞いていた。美咲さんの妹を連れて近所の公園にいた時、クラスの女児3人が近づいてきて、N教諭が配布物を渡す際に美咲さんを飛ばしていることを身振り手振りで説明してきた時のことだ。

「女の子たちは『山本(美咲さん)さん飛ばし』『××さん飛ばし』(他の児童の名前)と特定の名前を使っていました」(母親)

 緊急保護者説明会での質疑応答では、保護者の1人(女性)がこう切り出した。

「(N教諭のいじめの)ターゲットにされたうちの1人の保護者です。今回の校長先生からの説明で初耳だったことがありまして、動揺しています。給食も少なくしていたのですか?」

 この保護者会の後に、「(給食は)僕も少なかった」と親に打ち明けた男児もいたという。また時間割を貰えなかった児童の1人は、母親が知人の保護者に時間割を写メで撮って送って貰っていたことも、美咲さんの両親に伝えられた。

集合写真の端っこに、“ターゲット”にされた美咲さんと児童が

「体育の授業の時に帽子を忘れただけで授業に参加させてもらえなかった話も聞きましたし、標的にされると、無視される、挙手しても指名されない、配られてもいないプリントを出せ、出せと迫られていたようです」(父親)

 集合写真を撮る時には、標的にされた児童は端に追いやられていたという話も聞いた。父親が写真を見ると、昨年秋の運動会でも年末の学級集会でも、美咲さんと特定の児童が端に写っていた。

「日常的に標的にされていた児童は複数いて、一番酷かったのが美咲と、もう1人の児童だったようです。しかし、まだ明らかになっていないことが多くあるように思えます」(父親)

学校側は、さらにこうして次々と出て来た話をどこまで確認できるのか。

「(学校として)N教諭の異動は人事上不可能」

 両親は3月22日に送った内容証明郵便でN教諭の処分を求めていた。

 3月31日の学校側の回答では、教員の人事・懲罰権は市の教育委員会が持っているため「(学校として)N教諭の異動は人事上不可能」と答え、「担任としての適性に関して問題があると判断し、次年度学級担任から外す判断を下しました」と書かれた。

 しかし担任から外すものの、学校は新年度にN教諭を外国語活動の担当と個別支援学級のサポート役に就けていた。両親が抗議すると、5月31日の回答書では「授業を担当させず、児童の前に立たせない職員室での業務に従事させています」と回答した。6月下旬になると、校長は両親に電話で「今は毎日、教育委員会に行っています」と答えた。

2回目の5月31日付の学校の回答書(N教諭の処分が進まないことを示す部分)
2回目の5月31日付の学校の回答書
(N教諭の処分が進まないことを示す部分)

 

 

父親はこう話す。

「自分の娘が被害に遭って、こうしたことが数多く起きていることを考えました。しかし法律も制度も、子供たちを守るのではなく、教師を守るようにできていることを痛感しました」

 校長は保護者会をもう1回開くことを約束したが、日程は決まっていない。

 6月26日、両親は校長、教育委員会の指導主事らと面会した。「いじめ」「虐待」を認める謝罪文の提出については保留する一方で、「教育委員会がゼロから調査する」と伝えられた。

 M小学校の校長にこれまでの調査や認識を聞くとこう回答した。

「(N教諭の行為は)いわゆるいじやめ虐待に相当する可能性があったと認識しております。今後、教育委員会が入った児童・保護者・職員へのアンケートや聞き取りによる調査を予定しており、これまでに保護者の方からいただいた話も踏まえて事実関係を確認し、対応してまいります」

※美咲さんの両親の要望により、記事中の一部記述と画像を変更しました。

文集オンライン

 

 

 

ryoushinn11 2021-08-19 09:00

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