いじめニュース速報@イジ速

いじめ事件 ・イジメ ニュースを発信中!スマホいじめが増加!子供達をいじめから守ろう!

夜回り先生 いじめを語る

講演する水谷さん

いじめ問題への理解を深めてもらおうと、藤沢市は9月30日、湘南台文化センターで、「子どもをいじめから守る啓発講演会」を開催した。

 講師を務めたのは、深夜の繁華街で若者たちの非行防止などに取り組み、「夜回り先生」の愛称で知られる花園大学客員教授水谷修さん(61)。横浜市で長く高校教師を務めたほか、26年前から夜回り活動を続けている。

 「夜回り先生、いじめを断つ〜優しさと勇気の育てかた〜」と題した講演では、来場者約500人を前に、青少年の更正や「大人はいじめにどう向き合うべきか」などについて、自身の体験談を交えて語った。

 水谷さんによると、いじめの加害者は両親からの虐待などによるストレスを発散するため、ほかの子どもをいじめてしまう場合が多いという。「大人がいじめの環境をつくってしまっている」と指摘し、「子どもは大人に褒められることで健全に育つ。親や学校の先生は、子どもを毎日褒めるようにしてほしい」と強調した。来場した平岩多恵子教育長は「講演を通じ、命の大切さを教えてもらった。『いじめはしない、させない、許さない』を合言葉に、子どもの笑顔が溢れる街にしていきたい」と語った。

 

生徒による教師暴行の博多高校が謝罪

男子生徒による教師への暴行が明らかになった福岡県の博多高等学校が2日、同校のホームページで謝罪文を公表した。

同校は、生徒が新任教員に暴行し、その様子がSNSに投稿されネットで広がったことについて、「在校生並びに保護者の皆様、卒業生の皆様、本校関係者の皆様、そしてネットでの情報等により不快な思いをされたすべての皆様に深くお詫び申し上げます。」と校長名で謝罪。これまで、「道徳教育を推進し、暴力は絶対にあってはならないものであることを教育」し、SNSの利用についても「その危険性を指導」してきたが、指導が至らなかったと省みた。

 

そして、今後の対応については、「改めてITモラルを持たせる教育、生徒の心が健全に育つよう教育の充実」を図ると説明。また、教員を育てる体制作りなど、学校組織を整えていくとした。

 

しかし、この謝罪文は、暴行を明らかにしたSNSへの投稿を問題視し、暴力を防ぐことよりもITモラルの教育を強調していると受け取れることから、再び批判が殺到している。
「ネットの危険性と今回の博多高校の暴行事件は関係ない」
「問題はITモラルじゃなくて不満があるからって暴力に訴えること」
SNS利用の危険性ってSNSがあったからこそ、暴行の存在が明るみに出たのでは」
「まるでtwitterにあげたやつが1番悪いみたいな言い方やな」
「トップの発言がズレすぎてる、まともな奴いないんだな」

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慎吾はかつていじめられる側だった…

JR新宿駅前で待ち合わせていると、ニッカポッカを履いた加藤慎吾(32、仮名)が現れた。鳶職のようにも見えるが、肉体労働者ではない。仕事は屋内作業であり、職業からすると、異質な格好をしている。その後、取材以外で、別の場所で偶然会ったが、同じようにニッカポッカ姿だった。

「(ニッカポッカは)保護色なんですよ。この手の人は得意じゃないんで、“僕はそっち側ですよ"と表明してしまえば、無用なトラブルを避けられると思って....」

慎吾はかつていじめられる側だった。それによって死にたいとは思ったことがないのは、うまく立ち回ることができたためだ。カメレオンのように身を隠してしまえば、いじめの対象にならないことをどこかで学んだということだろう。それでも慎吾はいじめとは違う理由で日常的に「死にたい」と思っている。

僕の周りでは「死にたい」と思う人は常にいた

東京都は17年7月、自殺対策に関する意識調査を実施した。その中で「あなたは、これまでの人生の中で、自殺したい、またはそれに近いことを考えたことがありますか?」との質問がある。「ある」と回答したのは45.3%だった。その中で「最近一年以内」は、26.1%だった。類似の調査の中では高い印象だ。

一方、内閣府の調査(16年度)で「自殺したいと思ったことがある」と回答したのは23.6%。東京都調査はこれを大きく上回る。内閣府の調査は「最近1年以内」では18.9%だった。ただ、東京都調査は、もともと福祉保健政策に関心があるモニターを対象にしているために、層化2段抽出法の内閣府調査とは手法が異なっており、内閣府調査の方が信頼性は高いと言える。

内閣府調査をもとにすると、死にたいと考えたことがあるのは4人に1人。こうした数字を見た慎吾は「ショックを受けた」と言うのだ。これらの調査結果で自殺を考えた人が「多い」と感じたわけではない。むしろ、「少ない」と感じたようだ。

慎吾は同じような人たちとつながっているが、それはSNS、特にツイッターでのつながりだ。そこで「常に『死にたい』と思っているわけではないが、そういう感覚がある人」とつながっている、という。

「嫌なことがあると死にたいと思うんです。仕事でミスしたりとか、軽い気持ちでも思うことがあります。ただ、ずっと以前から、反響音のように『死にたい』『死にたい』と響いています。僕の周囲にはそういう人が当たり前にいたんです。自殺を考えることは、僕の中では普通のことだったんです。多かれ、少なかれ、考えることはあるだろうと思っていたんですが、思っていた割合と逆だったんです」 

飛び込み自殺を断念した理由とは?

20歳のころ、慎吾は電車への飛び込み自殺をしようと思ったことがある。日にちと時間、そして飛び込む電車を決めていた。本気だったというが、実際にはしなかった。

「決行しようとした当日、普段しないような寝坊をしてしまったんです。そのため、予定時刻の電車には飛び込めませんでした。そうしたら、『どうでもいいや』と思えたんです」

自殺をしようとしたのに寝坊というのは、単純な“ミス"なのか、それとも、防衛本能だったのかはわからないが、寝坊したことで、少なくとも、その時の自殺は止める。とはいえ、「死にたい」気持ちがなくなったわけではない。

「ある日、ドアを開けたら、ソイツがいつ顔を出すかわからない感じです」

慎吾が希死念慮を抱いたのは18歳の頃だが、特に家族関係や友人関係が悪いわけでないという。いじめられたことはあるが、それが原因ではない。

「虐待とかはなかったです。ただ、小学校から高校までは、いじめられる側でした。ただ、なんとかうまく立ち回ったのか、ヘビーにいじめられることはなかったです。もともと気が弱い性格で、人に対して甘いし、つけ込まれやすい。人の言うことを信じてしまうんです」

なにかあっても怒ることも基本的にしない。いや、できない性格のようだ。

「怒れないですね。怒った後に何が起きるか?と考えると嫌になるんです。『いい加減にしろ』と言ったとしても、僕に言われた方も、それを見ていた人がいても、気分が悪いですよね。だったら、今言わなくてもいいと思い、我慢します。となると、『アイツは怒らない』とか、『ここまでならアイツはOKだ』となります。だから、なめられやすい。僕一人でできるならば、我慢します」

難病による厭世観アトピーの苦しみ

一方、慎吾は神経性腺腫(レックリングハウゼン病)という難病を持っている。茶色の斑点と皮膚にブツブツができる日本では10万人あたり、30、40人くらいの患者発生率の病だ。子どもへの遺伝率(浸透率)は高く、100%と言っていいという。相手方がその病気ではない場合、50%の確率だ。

「18歳まではあまり考えていませんでしたね。ただ、若い時にありがちな、『20歳になったら死ぬ』という考えもありました。思春期なら誰もが読むような太宰治の作品を読んで、カジュアルな自殺を考えたこともあります。それに、この病気では、自分の子どもへの遺伝率は50%。自分一人で完結するものではないので、結婚したとしたら、相手に負担をかけます。なら、しなくていいんじゃないか」

こうした将来への厭世感が慎吾にはある。また、現実の苦しさは、別の病気からもきている。アトピー性皮膚炎だ。

「疎外感とか孤独であるというのは、僕の中では普通のことだった。その意味で、疎外感から自殺を考えたことはない。だから、僕が自殺を考える出発点は神経系の病気だったと思うんです。それにアトピーもある」

「今は大丈夫ですが、アトピーの症状は17歳から急に出てきた。10代のころはひどかった。朝起きるのが嫌だった。起きている間は痒いのは我慢できます。しかし寝ているとコントロールができず、痒いと思った瞬間にかいています。どんな対策をしたとしてもダメ。最終的には体を縛り付けるしかない」

「22、23歳の頃が一番大変だった。今は汗をかいたときは痒いが、薬を塗っているのでまだマシ。ただ、今でも夢を見ます。夢の中で、かきむしって、ボロボロになっている僕がいます」

こうした苦しみの中で飛び込み自殺を考えた。結局はしなかったが、なぜ、飛び込みという手段が頭に浮かんだのだろうか。

「首を吊るにしても、住んでいた家にはハリがなく、現実的ではない。服毒も簡単にできない。入水は苦しみそうだ。飛び降りか、飛び込みか。親しい人じゃないが、以前に関わっていた劇団で一緒だった女性が飛び降り自殺をした。ならば、それは避けたい。だったら、飛び込みかと思ったんです」

自分をコントロールできないことは恐怖

しかし、その“未遂”後は、積極的な自殺への行動を取ってない。

「積極的な行動をしてないというのは逆に怖い。だから、ある日、突然、自殺の行動をとることがあるかもしれない。遺書がない人がいるが、わからないでもない。明確にやり残したことがあるわけではないんですが、今はまだ死にたくないということがどこかにある」

当面は自殺をしないという慎吾だが、死が怖くなったのだろうか。

「自分がコントロールできなくなるのが嫌なんです。だからお酒を飲まない。お酒を飲んで記憶をなくすのは恐怖でしかない。責任を持てないのが嫌。『酔っていて覚えていない』とは言いたくない。なんで、みんな、自分の言動に責任を持てないのでしょうか。イラっとくる。ただ、最近、『意外とみんな責任を持ってないんだ』と思った。コントロールできないという意味では、衝動的に死ぬのも怖い」

コントロールをできない状況は恐怖という慎吾。失敗しないためには欲を出さないという発想を思いついた、という。

「こうした発想は早い段階からかな。幼い段階で思っていたと思う。小学生の頃かな?自分から目立つことをもしてないし、『あれが欲しい』『これが欲しい』とかは言わないようにしていた。全部、自分の中で問題を解決していたんです」

ナルシストのパラメーター配分は自分に向いている

一方で、プライドは高いと指摘されることがある。

「自覚はないんですが、『僕の中に恥という概念が強い』と言われたことがある。しかし、恥ずかしいというよりは、自分に対するプライドが強いのでしょう。誇りを傷つけられると嫌だというものではなく、自分が決めたルールに対するプライドです。単純にルールを曲げるのは嫌なんです」

そうした傾向を慎吾は「プライド」と表現するが、「頑固」と言った方がわかりやすいし、性格傾向をより性格に表現しているのではないかと思える。では、その“プライド”の高さはどこからきているのか。

「親からの教育と、自分の性格じゃないかと思うんですよ。あー、小学生のころ、空手をしていたというのも影響しているのかも。武道は自分を律するものですから」

「親父は、良かれ悪しかれ、こうと決めたことはやる人だった。一方で母親は緩いんです。中高生までは母よりの性格でしたが、高校卒業以降は父親の性格に近くなった。僕も、日常生活で決めたことはきちんとやるほうかな」

自己完結と支配。それができないようなことは恐怖でしかない。たとえば、希死念慮を抱く人の中には、自ら死ねないものの、事故や事件に巻き込まれて死にたい、と考える人もいるが、慎吾はそれらには否定的だ。

「自殺で『死にたい』は理解できるけど、殺人事件で『殺されたい』は理解できない。そこにもコントロールが関係します。相手に殺されたいと願っても、僕がして欲しい殺され方をするとは限らない。コントロールというのは、自我を保つ最後の砦。せめてそこだけは残したい。僕の人生に他人を取り入れたところで意味がない。自分がどう生きるのかしか考えていない。その意味では、自己中心的な性格です。ナルシストではあるけど、どう見られるかという外部に対するものは諦めている。その分。ナルシストのパラメーターは内側に向かっています」

慎吾は壮絶なトラウマ体験があるわけではない。しかし、この取材を受けた一つの理由は、そうした体験がなくても、「死にたい」と思っている人がいるということをわかってほしいからだ。

 

東京都立小山台高校一年の男子生徒(当時16)が自殺

都初のいじめ調査が実施

2015年9月、東京都立小山台高校一年の男子生徒(当時16)が自殺した。この問題で、東京都教育委員会のいじめ問題対策委員会は9月26日、調査結果を公表した。

調査は約1年8ヶ月、時間にして214時間にも及ぶ調査だったが、「収集できた資料の範囲内で判断する限りにおいて、いじめがあったと判断することは極めて困難」と、いじめを認めなかった。また、自殺の背景には触れなかった。遺族は報告書の内容に不服として、小池百合子都知事に再調査を求めている。

本人が「心身の苦痛を感じていたか」も判断ができない

報告書などによると、2015年9月27日午後4時30分ごろ、都立小山台高校一年生の男子生徒がJR中央線大月駅で列車に飛び込んで死亡した。その後の学校の調査ではいじめについては認められなかったが、遺族が生徒のスマートフォンのデータを復元したことで、いじめがあったのではないかとの疑念を持ったことから、16年1月、都教委ではいじめ問題対策委員会を開催し、調査部会の部員を指名した。

いじめの有無の判断については、いじめ防止対策基本法による定義がある。法では『児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象になった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの』としている。しかし、調査部会では前提として、「形式的に法による『いじめ』の定義に当てはめると広がってしまうことから、加害者側とされる生徒の事情も考慮すべき」とした。

同時に、「亡くなった生徒本人へいじめがあったことを直接示すような本人のメモ・遺書等はない」。「個々の出来事では、法がいう『心理的物理的影響を与える行為』があったが、それらの行為によって本人が『心身の苦痛を感じていたか』も判断ができない」ともしている。

 

会見にのぞむ教育委員会と調査部会の関係者(撮影:渋井哲也

 

連呼行為は一種の言葉遊び。「心身の苦痛」を感じていたとは認められない

報告書では、亡くなった男子生徒に関する18の事実関係のうち、「4月~5月中旬の出来事」、「合唱コンクール(6月12日)」、「机をバーンと叩いた件」、「水泳大会」、「部活動全体の無料通信アプリ・LINE上で名前を連呼する行為」の5つについて、いじめの有無の検討を行った。ちなみに、遺族側が指摘していたいじめは15件だったが、5件に絞った明確な理由は記載がない。

それぞれの出来事について調査では、下記のように論じている。

「4月〜5月中旬の出来事」においては、、4月14日のアンケートで、「いじめられている気がする?」との問いに、「全くない」と回答していると指摘。5月1日の学習リサーチアンケートには「家庭や保護者のことについて」で、この時期、いじめを受けて悩んでいたとは見受けられない。

合唱コンクール」では、クラスの代表の生徒から、練習時に歌い方について注意を受けていた。亡くなった生徒が親しい女子生徒に合唱コンクールの打ち上げに行きたくないと話していたり、ツイッターでは、不快な思いをしていたことがわかる。しかし、亡くなった生徒だけが目立って注意されたわけではない、としている。

また、母親は、亡くなった生徒が「ダメだ」「下手だ」と言われていた点を指摘していたが、「調査が進んだ3ヶ月後に初めて突然主張した」として、母親の主張の信用に対する疑問も残ると判断。そのため、言われたこと自体、「事実があったこと自体確かめられない」としていた。

「机をバーンと叩いた件」については、「日時は明らかではないが、母親が主張するような出来事があったと話す生徒が複数存在した」と認めているが、「その背景にいじめが存在するという事実は確認できない」としている。

ただし、聞き取り調査の中で、周囲が驚き、怖いと思った生徒がいたこと、真似をしたり少しからかう感じのものがいたという事実が確認できた。ただ、「真似をした者がいる」と証言したのは生徒一人で、真似されているのを「見ていなかったと思う」と回答したことや、「ツイッターではこの件はつぶやかれていない」「さらには多くの生徒は覚えてない」といったことを総合的に判断すると、この件で「心身的な苦痛を感じていたとは認定できない」とした。

「水泳大会」に関しては、生徒への聞き取り調査が終わった後に、母親から初めて、クラスメートから「痩せている」「ガリガリだ」「胸がへこんでいる」「水泳がへただな、遅いな」「「クラスの足をひっぱるな」などと言われていたと主張がなされた。しかし、このような事実を見聞きした生徒は一人もいなかった。主張のもとになった母親の手帳にも一切、記載がない。そのため、「いじめの事実は認定できない」とした。

「部活動の全体のグループLINEで、亡くなった生徒の姓に近い言葉が連呼されたこと」については、この言葉は、ハンドルネームであり、部活内での呼び名でもあったことから、亡くなった生徒を指すものだとした。この点について、法が定める「いじめ」の定義に該当するとも考えられる。しかし、攻撃的、否定的なメッセージを読み取ることができないし、連呼行為があったのは1日だけ。一種の言葉遊びで、「これによって亡くなった生徒が『心身の苦痛』を感じていたとは認められない」とした。

調査部会「法のいじめの定義は広範すぎる」

報告書には「その他の検討事項」の中に、「いじめの定義を巡る混乱」という項目がある。いじめ対策推進法による定義は「いじめ」を広く捉えている。しかし、調査部会としては、いじめを広く認定することをしなかった。

「関係性が存在する以上、今回、当該生徒が同じクラスの生徒や同じ部活動の生徒の言動から、心理的影響を受けていたことは事実である。その結果、当該生徒が、不快感や寂しさを感じたことがあったであろうことは否定しない。だが、いじめ問題に対する指導を行うに際して、学校、教職員がその端緒として活用する定義としては有用であるとしても、少なくとも、いじめ防止対策推進法に基づき重大事態の調査が行われるに当たってはこれをいじめと捉えることは広範にすぎる」

この件について、会見で調査部会長の坂田仰・日本女子大教授は、「遺書がない中で、亡くなった生徒の気持ちもわからず、法の定義をそのまま当てはめるには限界がある。ある種のいじめと捉えることもできるが、加害側とされる生徒の意図を考慮せずに判断していいのか」と答えた。

いじめの定義については、原発事故をきかっけに横浜市自主避難して来た子どものへのいじめ調査でも問題になっていた。16年11月に公表された報告書では、全体としてはいじめを認定しているが、被害児童から加害児童になされた金銭授受は認定しなかった。これは過去のいじめ行為と同じようなことを回避するための行為だがいじめと認めなかった。しかし、その後、岡田優子教育長は「金銭授受もいじめの一部と認識する」と謝罪したことがある。

遺族側「法の趣旨はいじめの防止。被害者の心情を理解することが必要」

遺族側の代理人は「調査部会が示したいじめの定義であっても、今回の件はいじめと判断できるのではないか。法の趣旨はいじめの防止。被害者の心情を理解することが必要だが、その観点でいじめの判断がなされなければならない」と述べた。また、遺族の母親は調査委の判断について、「こじつけとしか思えない」と答えていた。

 

会見で報告書について批判。小池都知事に再調査を依頼したことを話した遺族(撮影:渋井哲也)

 

今回の調査を終えて、坂田部会長は「遺族の主張を前提にいじめの調査を行って来たが、いじめの存在は確認できなかった。我々は調査結果について自信を持っています」と話した。ただし、坂田部会長は「調査の限界」という言葉を何度も繰り返した。調査委は「第三者委員会」と呼ばれることがあるが、学校や都教委から完全に独立しているわけではない。また、自殺の原因がいじめではないとしたら、その背景に踏み込んでいいのかと悩んだことが報告書にも書かれている。

一方、遺族は報告書の内容を批判する。「息子はTwitterに心身の苦痛を感じたことを書いているし、息子が心身の苦痛を家で母に話していた会話は事実です。事実を報告書に書いてないことは、偏った不公平な書き方です」と、報告書を批判した。「中立・公平と言っていたのに、生徒や先生に聞き取りをした内容だけを元に判断している、息子は理由もなく、勝手に死んだわけではない」と話していた。

遺族側代理人は「いじめが、学級や学校といった集団の中で日々の積み重ねで構築され、孤独感や孤立感といった感情を日に日に蓄積させるものという視点が欠けている」として、文科省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に基づいて、再調査を要望した。

なお、調査部会と遺族とのコミュニケーションが円滑ではなく、信頼関係が作り上げられなかった点があったともされている。教育委の担当者が遺族に対して怒鳴ったのではないかと記者から指摘された。担当者は「遺族に対して感情が高ぶったところがあったのは事実で、遺族にはすでに謝罪した。かなり長い時間にわたり、私なりに丁寧に寄り添ったつもりで、努力はしてきた。しかし、一回でもあってはならないこと」といい、大枠で事実を認めた。

姉もコメント発表「遺書がなければ結局認めないということなのか」

また、亡くなった生徒の姉もコメントを書いたメモを発表した。合唱コンクールの件については「個人的な発言を聞き一方的に気分が悪くなったというのは普通に気分が悪くなるでしょう。一生懸命やっててぶち壊されたようにも思うんだから。本人だけを責めてないからいじめではないという判断で、それですべて片付けられそうだ」(原文ママ)と懸念を表明した。

また、いじめの判断について「精神的に嫌なことをされていても遺書がなければ結局認めないということなのか。それでいじめと判断されないのはおかしい。いじめの範囲を広げないってなんで決めるのか。部会の人たちのものさしではかるのはやめてほしい」(同)などとしていた。

 

3月のライオン:文科省のいじめ防止啓発ポスターに

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アニメ「3月のライオン」と文部科学省とのコラボレーション描き下ろしポスター (C)羽海野チカ白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

テレビアニメ「3月のライオン」と文部科学省がコラボし、いじめ防止を啓発する描き下ろしポスターが制作されたことが3日、分かった。

 10月からスタートするテレビアニメ第2シリーズで、学校でのいじめ問題が描かれることにちなんだコラボ企画。ポスターには、幼い日の主人公・桐山零に川本ひなたが手を差し伸べるイラストが描かれ、「どこまでもあなたの味方だからね」という啓発メッセージが添えられる。

 ポスターは、全国の中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校高等専門学校に配布される。また、文部科学省のホームページに特設サイトが開設され、アニメで声優を務める河西健吾さん(桐山零役)や花澤香菜さん(川本ひなた役)、将棋女流棋士山口恵梨子さんのインタビュー記事などが掲載される予定。

 「3月のライオン」は、2007年7月から「ヤングアニマル」で連載中の羽海野チカさんの人気将棋マンガ。中学生でプロデビューした17歳の棋士・桐山零と、川本家の3姉妹の触れ合いを描き、11年に「第4回マンガ大賞2011」と「第35回講談社漫画賞」、14年には「第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞。テレビアニメの第2シリーズが、NHK総合で10月14日から毎週土曜午後11時に放送される。

 

「こんなに大きいのにいじめられていたなんて」と思わず抱きしめてあげたい…

こんにちわ!今日子です(^^)

すっかりご無沙汰してしまいましたが、季節はすっかり秋ですね。

今日は、諏訪魔さんです。

諏訪魔さんとは、7年ぐらい前に知り合ったのですが、最初は、怖い人なのかな。。。と思っていました。

喜怒哀楽が激しいので、誤解されてしまうところも多々あるようですが、実はとても、純粋で優しい人です。

ぶっきら棒なのは、人見知りで照れ屋さんだからなのかも知れません。

知人が「諏訪魔暴走TV」に出演した時。私も、見学しに藤沢まで行きました。

駅まで迎えに来てくれて、スタジオまで歩いて行く途中で、急に諏訪魔さんが「俺、実はいじめられっ子だったんだよね」と衝撃の告白をしました。

えぇッ!? 諏訪魔さんが? (@_@)

何と答えて良いのかわからずにいたのですが、レトロな定食屋さんの前にさしかかった時、「ここの店、おばあちゃんが一人でやってるような小さな店なんだけど、いじめられた学校の帰りによく寄って、玉子丼とか食べて行ったんだ」と話し始めました。

泣き顔のまま、家に帰れば、親が心配する。

だから、この店でひと息ついて元気を取り戻してから帰っていたのだというのです。

「ここがあって救われたよ。でも、今でもこの店の前を通る度に、辛かった事を思い出すよ・・・」と、悲しい目をした諏訪魔さんを見て「こんなに大きいのにいじめられていたなんて」と思わず「抱きしめてあげたい」と思いました。

それと前後して、マスコミのインタビューでもいじめられっ子だった事を告白し、「世の中から、いじめがなくなる事はない。きれいごと言うな。結局、逃げちゃダメなんだよ。俺を見て、人間はこんなに変われるという事を知ってほしい」と熱く語っていました。

最近では、いじめ問題にコメントする事はあまりないようですが、でも、ニュース等でいじめの話が出る度に、諏訪魔さんを思い出します。

放送後の打ち上げの席で「遠くまで来てくれたから」と、出演者だけではなく私にまで「これおいしいんだよ」と、自分の好きなコーヒーをプレゼントしてくれました。細かい心遣いができる人なんです。

それは、いじめられた過去があるから、人に優しくできるのだと思います。

昨年のお正月に、アキレス腱断裂の怪我をしてしまった諏訪魔さん。

全日本の昼興行と、大日本の夜興行の間の時間に、当時、金髪だった野村直矢さんも交えて、みんなでお食事をしたのですが、足が痛いのに、来てくれました。

※金髪だった頃の野村直矢さん

その時は、ご本人も周りもそこまでひどいとは思っていなかったのですが、結局、長期欠場、3冠ベルト返上になってしまうほどの大怪我でした。

あの時、歩かせてしまったから悪化したのかも・・・と、食事会に来たメンバー全員、申し訳ない気持ちになっていたのです。

先般、開催された王道トーナメントに優勝し2連覇。

10・9後楽園では、3冠に挑戦です。

宮原さんも、若くて今風な感じで良いですが「旗揚げ記念シリーズ」なのですから、私は、生え抜きの諏訪魔さんに返り咲いてもらいたいと思っています。

いじめも吹き飛ばし、怪我も克服した姿を見せて下さい。

東銀座で飲んだ時、お店にいた他のお客さんに「あの人、プロレスラー?」と聞かれ「全日本プロレス諏訪魔さんです」と言ったら、銀座の老舗の和菓子屋さんまで飛んで行って「すあま」を買って来てくれたんです。

「すあま」ではなく「すわま」なんだけど・・・と思いつつも、せっかくの好意なので、ありがたくいただいた事もあります。

「馬場さんの後継者でしょ? 頑張ってほしいよね」とも、その方は言っていました。

馬場さんの後継者とは、またちょっと違うかなと思ったのですが、でも、世間の人から見たら

①パッと見でプロレスラーとわかる風貌、体格

②馬場さんの後継者=全日本プロレスの看板を背負っている

という風に思う、という事なんでしょうね。これはすごい武器だと思います。

また、暴走するだけではなく、きちんとした基礎があります。

フロントスープレックス(ベリー・トゥ・ベリー)は本当にきれいです。

ロープのリバウンドを利用してしか投げられないアマレス出身者もいますが、諏訪魔さんは、その場で、きれに反って投げます。

投げ技がきれいなのは、見ていて気持ちが良いですよね。

大型の選手が多く、迫力ある試合は全日本ならでは。

最強タッグでは、大巨人・石川修司さんと組んで出陣するとか。

これまた、楽しみですね!

前年度覇者の、征矢学さん&大森隆男さんの「GET WILD」、ゼウスさん&ボディガーさんの「ビッグガンズ」との対戦も今から楽しみです。

何はもとあれ、諏訪魔さんには全日本のど真ん中を突っ走って・・・いや、暴走して行ってほしいです。

※恐る恐る、抱きしめてみました(^_^;)

 

実妹の剃毛をした息子を見て見ぬ振りした父

(C)高橋ユキ

20143月に埼玉県富士見市で発生したベビーシッターによる2男児殺害事件。逮捕された物袋(もって)勇治は同月14日、山田龍琥(りく)君(2)とその弟を預かり、龍琥君を殺害したとして殺人罪に問われている。しかし物袋が問われている罪はこれだけではなく、多くの乳幼児に対する児童ポルノ禁止法違反や強制わいせつ等でも起訴されていた。昨年6月に横浜地裁で開かれていた物袋に対する裁判員裁判の様子を、連続しリポートしていく。

※本記事は、小児の性被害および、児童ポルノに関係するwebサイトの被告の閲覧履歴について詳細な記述を含んでおります。

 2016年7月4日の公判では引き続き物袋の両親に対する尋問が行われた。物袋という男を家族はどう見ていたのか、どんな子供時代を送っていたのか、実妹への性的虐待を知っていたのか、そして事件については、物袋と同じように、彼がやっていないと信じているのか。知りたいことはたくさんある。

妹への性的虐待を、父は問題視しなかった

 まず証言台の前に立った物袋の実父は、紺色のスーツにメガネをかけた普通のおじさんだった。会社員だというが、確かに着慣れた感じのスーツはくたびれている。声はこもっていて、かなり聞き取りづらい。子供時代の物袋について弁護人から尋ねられ「え〜、気が小さく、おとなしい子でした」と答えた。小学校時代は「コミュニケーション能力が低く落ち着きがない」と先生から言われたことがあり、勉強はあまりできる方ではなかった。そしてこの事件の引き金だと物袋が話す“中学校時代のいじめ”の話に移る。

弁護人「息子さん、少年時代にいじめを受けていたのは事実ですか?」
実父「知りませんでした」
弁護人「どんなこときっかけで知りましたか?」
実父「事件が発覚して、記者がうちに来て、そう言う話を聞かれたので……」
弁護人「息子さんからはいじめのことを聞いたことは?」
実父「なかったです」
弁護人「どうして言わなかったんだと思いますか?」
実父「心配かけたくなかったんではないかと思います」

 当時、いじめに気づいていなかったという実父。いじめの存否がまた疑わしく感じられるが、弁護人は、いじめはあったものとして話を進める。次には、物袋が小さな子供に性的興味を抱いていることについても質問が飛んだ。

弁護人「思い起こす出来事はありますか?」
実父「仕事から帰った時、布団から男の子と一緒に出て来たことがありました。小学校……3年生の頃じゃなかったかと思います。同じ年の男の子です。何やってんの、というぐらいで声をかけました」

 質問は、もうひとつの大きな事件の引き金である実妹についても及んだ。かつて、物袋を実妹とのことでひどく叱ったことがあるのだという。

実父「妹の下の毛を剃ったということがありまして、怒りました。娘が20歳前後の頃です」

 実妹が20歳前後となると物袋はすでに成人している。実妹が自ら、父親に被害を申告したのだろうか。かなり深刻な事態だと思われるが、実父は淡々と語る。

実父「息子はやってないとは言ってた。娘を問い詰めたところ、お兄ちゃんにやられた、と言ってました」

 この実妹への性的虐待についての質問はサラッと切り上げられた。また物袋が実妹の着替えを覗いていたことに関しては「脱衣所とトイレが同じ場所にある、アコーディオンカーテンを置いていましたが壊れて開けっ放し。息子の部屋は脱衣所の目の前で開けるとすぐに見えるんです」と、間取りを理由に物袋をかばうかのような弁解をした。そんな娘にとって困る状態が長く続いていたわけだが実父は「子供は2人だしそんな気にしたことなかったです」などと語っていた。また、物袋が一時期保育園で働いていたこと、実家を出てさいたまのマンションでシッターをやっていたことは知らなかったという。老後の積立金を、被害者の一部の方におわびとして支払ったことも明かされた。

 質問者が交代し、検察官が実父に質問を始めた。やはり、物袋が妹の陰毛を剃ったことについて質問が飛ぶ。

検察官「家の中で息子が娘の陰毛剃ったんですよね。何かあなたはしましたか?」
実父「怒って殴りました」
検察官「いつからしてたのか聞きましたか?」
実父「聞いてないです。それ以降、声をかけましたが娘は話さなかった」
検察官「なぜ、いつからしてたのかと聞かなかったんですか?」
実父「思ってもみなかったです」

 頼りない父親である。実妹は一度家を出たのち、さらに引越しをして、家族から姿を消したのだというが、それについてもこんな調子だった。

実父「うちを出たのは、まあ、息子と一緒にいたくないというのはあったんですが、朝早くて時間に間に合わないというのありました。当時は引越しの手伝いをしたりしてました」
検察官「でもなぜそれ以降の居場所が分からないんですか?」
実父「そこも出て行ったんです」
検察官「その後なぜ分からなくなったんですか?」
実父「私にもわかりません」

 普通の身なりで淡々と答えながらも異様な家族の形が浮かび上がる。家族は物袋が妹に性的虐待を加えていることを知っていたが大きな問題とは捉えていなかった。それが最も異様である。さらに休廷をはさみ、実母の尋問が始まった。ここから、実父の尋問以上に異様な問答が繰り広げられてゆくことになる。

実母もまた、異様に見えた

 実母は誰の目から見てもおそらく物袋の母親だと分かるほどに物袋と瓜二つであり、常に傍聴席で息子の裁判を見守っていた。だがその様子を時折うかがうと、終始熱心に傍聴しているというわけではなく、何か手遊びをしたりといった風で、息子が大きな事件で裁判員裁判に付されているという雰囲気ではないのである。真剣な顔をしても笑っているように見える損なタイプの人間がいるが、実母はつねに薄笑いを浮かべてるような表情で傍聴席に座っていた。損なタイプなのか、本当に薄笑いをうかべていたのかは、分からない。この日はオレンジのスーツで尋問に臨んでいた。先ほどの気の弱そうな実父とは打って変わって、早口でハキハキと答える。

弁護人「仕事は?」
実母「無職です!」

と、堂々とした様子だ。

 尋問ではまず物袋が保育の仕事をするようになった経緯が語られた。もともと実母が自宅でシッターをやっており、それを見た物袋が「僕もしたい」と言ってきたのだという。その後物袋は、某保育施設で働き始めるのだが「ちょっと難しいかなという感じはしました。子育てもしてないし、保育の経験ないし、簡単にできる仕事ではないと思っているからです。私が経験した中でも大変なことなので、息子の性格上、ひとつのことに集中すると周りが見えなくなる。小さい子を預かる仕事、怪我させてはいけない、そういうことあってはいけない、ちょっと無理ではと思いました」と、物袋が保育の仕事に適していないことを感じていたという。

 だが、物袋がその後、自宅でシッターを始めたとき、強く止めてはいない。「大丈夫なの?」と聞いただけで、物袋に「大丈夫」と返されたのちは反対することもなかった。代わりに送迎を頼まれるうちに、物袋の仕事を手伝うようになったという。

実母「通信でチャイルドマインダーの勉強をしていると言っていました。わからないことがあったら、チャイルドマインダーのほうで相談に乗ってくれると息子から聞いていた、だったら大丈夫かなって思いました」

 とはいえ、間近で見た物袋の仕事ぶりは「十分ではない」と感じていた。オムツの替え時に気づかなかったり、子供を預かっている間に目を離し事務作業を続けていたりした姿を目の当たりにしたという。その都度注意をしていたとも語っていた。

 実母はこのように物袋の保育の仕事スキルが十分でないと認識し、注意をしたりもしていたが、一方で、物袋が起こした大きな事故については寛大な姿勢を見せ、実父と同様の異様さをまとっていた。例えば、物袋は一連の事件を起こす前、預かっていたお子さんにポットのお湯をこぼし大火傷を負わせるという“事故”を起こしていたのだが、それについてはこんな調子だ。

実母「事故が起きたことは知ってます。昼寝から起きてオムツが濡れてるから替えようと外して、そしたらイヤイヤといって履かないで部屋をかけずり回った時、流しのところに置いてたポットのコンセントがひっかかり、ひっくり返ってお湯を浴びて大火傷を負いました」

 こんな話を、最初と同じようにハツラツと語るのである。さらには、龍琥君の殺人について、こう言及した。

実母「私は、えと、故意にやったアレではなく、事故だったと思ってます」

 物袋の言い分を信じているようだ。ちなみに、いじめについては父親と同じく「聞いたことはなかった」、実妹の裸を覗き見していたことについては「しちゃいけないことをしているなとは思ってました」などと語った。

 物袋の味方をしている母親だが、保育に関しては心配していたという主張だ。だがこれがポーズだったことが、検察官からの質問で明らかになる。

検察官「あなた被告人がシッターをすること自体が難しいと思っていたと、保育の仕事も難しいと、それ警察にも同じ話しましたか?」
実母「はい」
検察官「被告人が『シッターズネット』という既存のサイトと同じ名前のサイトを立ち上げたからそれを注意したんではないですか?」
実母「おぼえてないです」

 どうやら物袋の逮捕直後は、物袋の保育能力を心配していたとは言っていなかった様子だ。また、母親が先ほどの父親と違ったのは、物袋の性癖に関することについてだった。

検察官「あなたは被告人の性的趣味は知っていますか?」
実母「知らないです」
検察官「男の子に性的な趣味が向いているとは?」
実母「思いませんでした」
検察官「中学校の頃、男の子に性的興味向いていると思わせる出来事は?」
実母「ありませんでした」
検察官「中学校の頃、小学校4~5年生の男の子と裸でいたことがありますね?」
実母「たまたま早く帰ってきたときにありました」
検察官「小さな男の子に性的興味が向いているとは?」
実母「思わなかったです」
検察官「なぜ裸でいると思ったんですか?」
実母「暑かったんでぇ〜、裸でなく〜、上は裸だったですけど下は履いてたんでぇ〜、その点は暑いのでぇ〜〜〜」

 と、物袋が小児に性的興味が向いていると思わせる出来事があったにもかかわらず頑なにそれを否定し、追及が続くと語尾を伸ばしながら同じことを繰り返し始めた。暑いから不自然に思わなかったという言い訳は、自分がそう思いたいからか、それとも物袋が小児性愛者であることを否定したうえで起訴事実を否認しているため、それに合わせるという歪んだ親心からか。

 物袋の実妹に対する暴力や陰毛を燃やすなどの行為についても、同じように“大したことではなかった”感を醸し出そうとする。

検察官「被告人の妹への暴力は知ってますか?」
実母「きょうだい喧嘩で叩かれたことは知っています」
検察官「カッとなると被告人はいつも暴力を振るっていたんじゃないですか?」
実母「なかったです」
検察官「あなた以前そう言ってませんでした?」
実母「娘からは、お兄ちゃんと喧嘩したと聞いたので、息子に聞くと、喧嘩両成敗なので注意しました」
検察官「被告人の逮捕直後の調書であなたは『カッとなるといつも妹に暴力を振るう』と言ってなかったですか?」
実母「言ってないです、振るったことはある、と言いました」
検察官「被告人の妹さんへの暴力はあくまでもきょうだい喧嘩の範疇?」
実母「はい、そうですね」
検察官「陰毛を剃ることもきょうだい喧嘩の範疇なんですか?」
実母「それはやっちゃいけないとは思いますが……えーと……主人に、主人が話してるので私からは話してません」
検察官「被告人の妹は、あなたの娘でもあるんじゃないですか?どうして話をしなかったんですか?」
実母「私の両親が、2人で怒ると逃げ場がないからどっちかが言えばいい、と言ってたので、そうやって私も育てたので、主人に任せました」

 このように関係者が、事件直後と公判時で話を変えることはよくある。それ自体は珍しくはない。公判の主張に沿うように話を変えたり、気持ちが変わって話をしたくなくなったりなど、いろいろな事情があるが、いずれにしても、物袋の母親は、物袋の主張に沿って彼をかばうことに決めたようだ。

検察官「被告人が妹さんにした性的なイタズラで、陰毛を燃やした以外のことは聞いてない?」
実母「なかったと思います」
検察官「あなたの妹さん、つまり被告人の叔母から、被告人とその妹を離れさせるため、親戚のところで働かせた方がいい、と言われてなかった?」
実母「言われてないです」
検察官「本当に言われてなかった?」
実母「言われてないです!!!!」
検察官「なぜ妹さんは家を出たんですか?」
実母「わかんないです、実際に聞いたわけじゃないんで」
検察官「関心はないんですか?」
実母「というよりも、いなくなる直前には会ってないし話もしてない、主人がたまたま連絡が取れなくて、何回かアパートに行ったとき、たまたまいて、連絡するように伝えて、その日を……その日に…んと……待ってたんですが、連絡取れなくて、私が職場に行ってみたら、娘はいなかったです」

 公判で物袋は実妹への暴力や性的虐待について、殴る蹴る、ということと、着替えを覗くこと、そして陰毛を剃ることのみ認めている。両親は法廷で、これらのことが、さほど大きなことではなかったように語った。だが、検察官が匂わせてくる当時の親類の話などから、物袋の実妹への行為は、家族の中で相当大きな問題になっていた可能性がうかがえる。妹は両親にも行き先を告げず失踪して、今も行方が分からない。これが問題の重大さを物語っている。だが家族は物袋を攻めるでもなく、問題を放置し続けた。両親が物袋の暴力を恐れて強く言えなかった、という可能性もゼロではないだろう。実の妹に対して性的な興味をむき出しにし、ときに暴力をふるい、欲望のままに振る舞う男に、両親は何も手を打てなかったのだ。そして何より、小児性愛の片鱗を見つけていたのに、乳幼児相手にシッターをすることを知りながらそれを止めなかった。無力な親の前に家族は崩壊し、事件は起こってしまった。