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知的障害者の久保さんのいじめ自叙伝

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本紙読者で、知的障害のある久保和則さん(59)=川崎市麻生区=が、自叙伝をまとめた。障害があることでいじめられたことや恋愛話など、自身をめぐるさまざまな出来事と、それに対する率直な思いがつづられている。 (山本哲正)

 久保さんの知的障害の程度は重度のA2だが、波がある。子どものころから思いをうまく伝えられず無口になったためか、言葉をはっきり発音するのが難しい。聴覚障害もあり、コミュニケーションは苦手という。東京都大田区出身。現在は社会福祉法人「らぽおるの樹」が運営するグループホーム麻生区)で暮らしている。

 自叙伝をまとめようと思ったのは、同法人の北川千鶴子理事長から勧められたことや、いじめられ、その時どんな思いをしたのか伝えたいと考えたからという。相模原市知的障害者施設で起きた殺傷事件への憤りも後押しした。「殺された人たちだって、生きたいという気持ちがあったはず」と久保さん。昨年十月からパソコンで打ち始め、四百字詰めの原稿用紙にすると三十五枚に達し、完成した。

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 久保さんの話では、生まれたときは二四〇〇グラムの未熟児だった。父親は長崎の原爆投下で被爆。その後、九州から上京し、結婚して久保さんが生まれた。父親はその病院で、久保さんに知的障害があり、それは被爆の影響と告げられた。

 小学四年の頃は全力疾走ができず、勉強も大変と感じるようになった。「どうせ勉強ができないから」と同級生から教科書をはさみで切られ「嫌だった」。いじめを見落とす先生もいたが、「久保さんは被爆二世かもしれない」と、被爆の影響の可能性を同級生に説明する先生もいて、感謝した。

 成人してからも仕事を覚えられず職場でいじめられ仕事を転々。清掃会社で働いていた三十代、高熱を出して駅のホームで倒れた。病院の検査で知的障害があると初めて知った。そのときまで家族から知らされていなかったためパニックになり「どうやって暮らしていけばいいんだよう」と看護師に食ってかかった。その後、四十歳になって今のグループホームで暮らし始めた。

 社会について考えたことも自叙伝に入れた。東京電力福島第一原発の事故に関しては「日本は地震国。また被ばく者二世が生まれるのか。やりきれない気持ちでいっぱいです」。また「われわれ知的障害者も恋をする」と、作業所の女性スタッフに思いを寄せた体験も盛り込んだ。

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 自叙伝をまとめるにあたっては、昔の写真を見て記憶を探り、周囲の話と照らし合わせた。新聞を毎朝二時間かけて読み、関心のある社会事情も組み込んだ。うつにより気分に波があっても書き続けた。北川さんは「久保さんは、人生の途中で知的障害を自覚し、精神的葛藤もあったと思う。周りの知的障害者をみる限り、社会に自分の考えを伝えたいという思いがこれほど強い人は珍しい」。

 北川さんの話では、複数の障害者の自叙伝をまとめる形での出版も考えられるという。久保さんは「いじめられたのは嫌でしたが、生まれてきて良かった。いじめで自殺を考える子どもたちに読んでもらいたい」と話している。