いじめを文章にする ごめんなさい川崎くん

へんしゅうちょうとして読者どくしゃのキミにどうしても書かかないといけないと思おもっていた。ずっと心こころに引ひっかかっていた。４０年以上前ねんいじょうまえの小学生時代しょうがくせいじだい、ボクはいじめる側がわだった。文章ぶんしょうにすれば、キミが考かんがえる材料ざいりょうになると思おもった。書かくことで自分じぶんを見みつめ直なおすことができるから、ボクのためでもある。【編集長へんしゅうちょう・西村隆にしむらたかし】

 

　大阪府枚方市おおさかふひらかたしの小学しょうがく４年生ねんせいのボクは、クラス一いちのお調子者ちょうしものだった。やさしい川崎かわさきくんは、いつも楽たのしそうについてきた。夏休なつやすみの宿題しゅくだいで、ボクは木材もくざいで工作こうさくした船ふねを作つくった。モーターとつないだスクリューで進すすむ、自分じぶんでもうっとりするくらいのできだった。「かっこいいなあ」と川崎かわさきくんは手てにとって、そして落おとしてしまった。船首部せんしゅぶが折おれた。たいしたことはない。工作好こうさくずきなボクにとっては、改造かいぞうできるのでうれしいぐらいだ。でも、ボクは川崎かわさきくんに言いい放はなった。「弁償べんしょうしろ」

　「弁償べんしょうしろ、弁償べんしょうしろ」。友達ともだちをまきこんで、何日なんにちも迫せまった。ある日ひ、川崎かわさきくんは、「お母かあさんに相談そうだんした」と１０００円札えんさつの入はいった封筒ふうとうを渡わたしてきた。大金たいきんだ。ボクは大変たいへんなことをしてしまったと初はじめて気きづいた。自分じぶんの親おやに知しられたらどうしようと不安ふあんになった。

　ボクは受うけ取とらなかった……はずだ。遠とおい昔むかしの出来事できごとなので、都合良つごうよく思おもい出でを書かき換かえているだけかもしれない。受うけ取とっていたと想像そうぞうすると、ぞっとする。

　今いま、大人おとなになって振ふり返かえると、あれは完全かんぜんないじめだ。ボクのせいで川崎かわさきくんは悩なやんでいた。追おいこまれた川崎かわさきくんが親おやに相談そうだんできずに一人ひとり抱かかえ込こんでいたとしたら。冷ひや汗あせが出でる。

毎小読者まいしょうどくしゃのキミへ

　川崎かわさきくんに謝あやまらないまま、ボクは転校てんこうした。今いまなら学校がっこうや教育委員会きょういくいいんかいや文部科学省もんぶかがくしょうの書類しょるいには、「転校てんこうにより解決かいけつ」と扱あつかわれるだろう。しかしボクの心こころの中なかでは解決かいけつしないまま４０年以上ねんいじょうたった。

　いじめに悩なやむキミにアドバイスする資格しかくはボクにはない。

　川崎かわさきくん、ボクの心こころのかさぶたは治なおりません、本当ほんとうにごめんなさい。

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キミの思おもいを大募集だいぼしゅう

　いじめについての考かんがえを募集ぼしゅうします。いじめられている人ひと、いじめている人ひと、見みている人ひと。悩なやみでも解決法かいけつほうでも何なんでもいいです。名前なまえや学校がっこうは内緒ないしょにして、紹介しょうかいすることもあります。

　毎日新聞社まいにちしんぶんしゃは、いじめを考かんがえるインターネットサイトをスタートします。そこで、たくさんの大人おとなが知恵ちえを出だし合あって、キミのために考かんがえます。

　〒１００－８０５１（住所じゅうしょはいりません）毎小まいしょう・ターくん係がかりへ。（学年がくねんだけは書かいてください）