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無断で撮影 陰湿化する「子どものネットいじめ」の実態

ベッドの上でスマホを見つめる少女

いじめと言えば暴力や悪口、仲間外れなどを想像する人が多いだろう。しかし、もはやそうしたステレオタイプの発想は捨てたほうがいい。LINEやInstagramなどWebツールが若年層に広がることにより、いじめの形もまた変容しつつある。ネットいじめ・ハラスメントの専門家が最新事情を語る――。

一見いじめとわかりにくいいじめが横行

いじめの認知件数は年々増えている。文部科学省の調査によると、2019年度の全国の小中高校等で認知されたいじめは、61万2496件と6年連続で過去最多を更新しました。いじめの定義が広がっていることもありますが、学校からの報告件数が増えた、つまり認知件数が増えているということでもあります。

今回は、いじめの中でも、「ネットいじめ」の現実について解説します。

今子どもたちの間で行われている「ネットいじめ」は大きく二種類に分かれます。

まず一つが、いわゆる掲示板やブログなど誰にでも見える公の場に書き込まれるパターン。こちらは従来型の「ネットいじめ」です。

もう一つが、LINEやTwitterなど、クローズ化されたSNS上で行われるものです。少し前までは、SNS上で悪口を書かれたり、LINEグループから仲間外れにされたりするといういじめ方が多かったのですが、最近では一瞬わかりづらいいじめ方が主流になってきています。傾向としては、中学生がLINE、高校生はInstagramTwitterが中心です。

写真を使ったいじめが横行

現在中高生の間に多いネットいじめが、「写真を勝手に撮る」というやり方。

 

誰もが普段からスマホを持っているので、いじめられている本人の知らないところで写真を勝手に撮ることができます。そして、勝手に撮った写真をSNS上やLINEグループにアップするのです。

アップされる写真は、落書きなどの加工をされていたり、変な表情をしていたりするだけでなく、何気ない普通の写真の場合もあります。そもそも勝手に写真を撮られて、どこにアップされるかわからないというのは精神的にこたえるものがあるのではないでしょうか。

陰湿なケースでは、本人の入っていないLINEグループで写真をアップして笑っているということもあります。そのLINEグループ内にいる誰かが、当人に教えてあげないと、いじめに気づくこともできません。気がつくようにわざと「こんなふうに言われてるよ」と教えることもあります。

LINEでは自分のプロフィール内に一言コメントが書けるステータスメッセージ欄があります。ここに、相手の悪口を書くのもいじめの一種。また、いじめている相手が入っているLINEグループで、相手が嫌がる内容の文言を書いてすぐに送信を消すという嫌がらせ方もあるようです。

かつてのいじめのように、ネットのオープンな場で悪口が書かれているわけでもないため、いじめが起こっていることが把握できなくなっているのが現状です。

他方、高校生に多いInstagramのいじめの場合は、本人がアップした画像がいじめのネタになりやすくなります。

たとえば、自撮りでミニスカートを履いた写真をアップしておいて「私、足が太いんだよね」と書き込んだり、相談していたりすると、「絶対そんなこと思ってなくない?」「足が太いならミニスカは履かないよね」と悪口を言ったり、コメントを書いてくるといった具合です。有名人もアップした画像に対して「自慢したいだけじゃん」と書き込まれることがよくあります。そういったことはどこにでもあるのですが、こうしたひがみが積み重なり、ネットいじめのきっかけになっていきます。

「いじり」と「いじめ」の境の見極めは非常に難しくなっています。友達同士でふざけてやってしまう「いじり」とは違い、相手が嫌がったり、精神的に追い込んだりした場合、それは「いじめ」につながります。相手が嫌がればスパッとやめてあげるべきですし、笑っていても「やめて」と言われたら「ごめん」とやめることが最も大切なことです。

新しいサービスやSNSはいじめの場所を増やす

画像を使わない場合のネットいじめで、SNS上でよくあるものは「なりすまし」です。

「なりすまし」とは、Twitterで誰かが自分の写っている写真を使い、本人になりすまして勝手につぶやいたり、あるいはわざと悪口や誹謗中傷を含んだID名を設定していじめられている人に関することをつぶやいたりするいじめ方です。

いじめている人間に察しはつくかもしれませんが、それでも誰がやっているかわからないというのは怖いものです。

Twitterでのなりすましは、Twitterの運営側に通報すればアカウントが凍結できますが、ただ、偽アカウントが次々出てくると精神的に疲れてしまいます。

また、新しいサービスやSNSが生まれれば、その数だけいじめが起きる場所は増えます。今流行しているClubhouseに子どもたちが入ってきたらどうなるでしょうか。たとえば、自分の知らないところでroomが作られて「昨日はあんたの悪口で盛り上がったよ」と言われたり、roomに入れてもらえないなどの仲間外れも容易にできたりするわけです。

大人と子どもの違いは「匿名性」の有無

結局は、いじめている側への対策が必要です。いじめの通報に関しては、学校に直接する、あるいは教育委員会にするというパターンがありますが、自治体により分かれています。私たちは、いじめ防止プラットフォーム・マモレポを運営しているのですが、こうしたいじめ相談サービスを子どもたちが使うことで、「たくさん通報が来て忙しくなる」と思っている先生もいるかもしれません。しかし、見逃して大きな事件が起こるほうが大変です。気軽に通報できるようになることは、いじめの抑止力にもつながります。

大人のいじめと子どものいじめで大きく違うことは「匿名性」。大人のネットいじめは匿名で、全然知らない人をいじめるというケースが多いでしょう。一方で、子どものネットいじめは、誰が書いているかわかる、あるいは知っている人がやっているというように、匿名で書かれていても身近にいる人が行う場合が多いでしょう。「ネットいじめはリアルのいじめよりも対策が難しい」と言う人もいますが、ネットいじめはリアルと地続き。ネットだと「集団戦」になりやすいので、いじめが増幅しやすい傾向がります。

いじめているLINEグループが活発でなければいじめは立ち消えることが多く、ここから、ネットいじめはリアルとつながっているということが推察されます。誰かがグループを抜けたり、ブロックしたりすればいじめが終わることも。クラス替えや力関係のちょっとした環境の変化で子どものいじめには終わりがあります。

しかしながら、いじめられた子どもたちは、不登校や自殺といった行動につながるだけでなく、成長した後もいじめの経験がトラウマとして残り、人間関係に影響を与えてしまうことも多い。

娘と真剣に話をしている母親
写真=iStock.com/Peter Berglund
※写真はイメージです

もし自分の子どもがネットいじめに遭っていると気づいたら、まず「あなたが悪いんでしょ」という言葉は封印してほしいものです。親に相談すること自体も勇気のいることなのだと肝に銘じましょう。

もう一つは、「相手にするな」「気にするな」という言葉もかけがちなのですが、これはもう一歩踏み込んだ一言をかけてあげてほしい。つまり、「『死ね』と書かれたら警察に言えるから、その時は言ってね」といった具体的な対応策とともに、なぜ気にしないほうがいいのかということまで伝えることです。こうして寄り添うことが、子どもを救うことになるのですから。