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いじめ後遺症で退職を繰り返す40代

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「いじめ後遺症」に苛まれ
退職を繰り返す40歳代男性の苦悩

 学校時代の「いじめ後遺症」に今でも苛まれ、仕事が長続きしない。トラウマが業務中に再生されてしまい、すぐには回復できずに、やむなく退職を繰り返す――。

 そんな働きづらさに苦しみながら、ずっと親と同居しているという40歳代の男性Aさんに会った。

 なぜ、こういう状況に陥ったのか。そのきっかけは大学3年のとき、就活に入るためのガイダンスに集められ、指導担当の教員から「金食い虫になるなよ」と言われたことだ。

 Aさんはふと、中学時代に「人が怖くて」学校を休みがちになり、親に連れられて精神科クリニックに通うようになったことを思い出した。

「想定していない経費だったので、不要なお金を親に使わせてしまった。自分は金食い虫だったのではないか……」

 Aさんは、教員の一言に全否定されたような気持ちになり、以来、まったく就活ができなくなった。大学に通学していたときも、流されるような感じで目的が持てず、何をすればいいのか、皆目見当がつかなかった。

 Aさんは大学を卒業後、スーパーでアルバイトをしていたが、20歳代前半のとき、店が閉鎖になった。そのため、障害年金を申請して、実家で生活を続けている。就労継続支援A型作業所にも何度も就いたものの、1年と続かなかった。

 こうして働けなくなってしまったのは、小学1年生のときからの仲間外れや「激しい」いじめ体験にあったのではないかと、Aさんは振り返る。

 Aさんは体が大きかったこともあり、休み時間や掃除の時間、クラスメイトから「おんぶしろ」などとしつこく要求され、何度も馬乗り状態にさせられた。気づいたときにはそのような関係性ができていて、助けてくれるクラスメイトもいなかった。

「一番ショックだったのは、担任の先生に訴えに行ったら“これから会議があるからダメ”って言われ、振り切られたことです。不安なので職員室に行って何度も“助けて”って泣きついているのに、別の学年の先生からは“帰れ!”って……」

 そんなトラウマがあるからか、仕事に就いても、Aさんは身体に染みついたように“ホウレンソウ”(報告・連絡・相談)ができなくなっていた。

水泳のコーチから平手打ち
あのときの恐怖が今でも……

 小学校時代、スイミングスクールにも通っていた。泳ぐ順番を間違えただけでコーチから激怒され、平手でパシッと叩かれた。そのコーチは、何か恨みでもあったのか、ストレッチになると無理やりAさんの体を曲げて押さえつけた。

「就労継続支援A型に通っていたとき、何度も名前を呼ばれるだけで、あのときのトラウマが蘇ってきて、集中攻撃されてるみたいに思えて身体が動かなくなるんです。大声を出されると、頭が真っ白になって、やはり身動きできなくなります」

 中学時代に不登校になったのも、皆から無視されたような感じになったからだ。誰かが別の人の悪口を言っているのに、自分も言われているのではないかという被害妄想が出るようになって、そのまま3分の1くらい学校を休んだ。

「学校に行かなければいけないと思ってはいたけど、家にいるほうが楽だったんです」

 Aさんは、職場で男性と一緒に仕事をするだけで、ハードルができる。そんな学校での後遺症で、男性への恐怖が今でも拭えないという。

「いじめを受けると、被害を被った側が攻撃性を受け継ぐ側面があるらしいんです。その攻撃性が、まるで感染でもするように自分や他人に向けられる。そうなるのだから、“いじめは止めましょう”って、なんでもっと言わないのか。後遺症のメカニズムが解明されなければ、いじめはなくならないと思うんです」

いじめも、虐待や暴力と同じように連鎖していく。そのことを親に話しても、まったく反応がないという。

「いじめを受けた人でなければ、やはり理解できないのではないか」

 いじめの連鎖についての因果関係の調査や検証についての研究はあまりなく、当事者側の自助的な取り組み以外、そういう認識はまだほとんど共有されていない。

「いじめの後遺症が消えたらどんなに楽に、苦しまずに済むのだろうといつも思います。いじめ後遺症からの治療や回復の過程を知りたい」

水面下でもがく
「引きこもり未満」の人々

 後遺症に苦しめられてきたAさんは最近、ずっと自宅で療養を続けているような状態だ。定義上の「引きこもり」というくくりにも当てはまらず、様々な事情から仕事を繰り返したりして長続きできずに孤立する、そんな「ひきこもり未満」の人たちも、水面下には数多く埋もれている。