オンライン学習やオンラインゲーム、SNSなど、ここ数年でより身近になった、インターネットと子どもたち。最近では、子どもがSNSやネットをとおしてトラブルに巻き込まれるというニュースを目にすることも増えました。 それは、ESSE読者にとっても他人事ではないようで…。読者が実際に経験した子どものネットトラブルをご紹介します。また子どものネット事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんに、子どもが安全にネットを使うためのポイントも教えてもらいました。
課金、違法アプリ、いじめ。子どもに起きたネットトラブル
いろいろな情報を得たり、世界じゅうの人とつながったり、なんでもできてしまうネットの世界。これからの子どもたちにとって必要不可欠なツールの一方で、危険が潜む一面があるのもたしかなようです。
●親が知らない人とのやりとり
「10歳の娘がLINEのオープンチャットで、知らない人とやりとりしていた」(東京都・会社員・43歳) 「11歳の娘がTikTokで知らない人とゲームのキャラクター交換をしようということになり、キャラクターを送ったけれど相手からは送られて来ず。連絡しようと思ったけど相手はIDを消去していて連絡が取れなくなっていた」(埼玉県・主婦・43歳) 子どもがどんな人と関わっているのか親としては気になるところ。ただネット上では、その実態が掴めないからこそ不安になりますよね。また個人情報や画像を送信していたりしていないかなど、親にとっては心配なことが山ほどあると思います。
●勝手に課金された(されそうになった)、違法アプリの使用
「アプリのインストールは無料でしたが、ゲーム内で課金できるシステム。遊んでいた娘(4歳)が違う画面になったと驚いて見せてきてくれたので、課金せずにすみました。その後、うっかり課金が起きないよう設定を変更」(福島県・主婦・38歳) 「子どもが知らない間に課金していた。請求書が届いてびっくりしました」(岐阜県・アルバイト・39歳) 最近は、子どもによる課金トラブルも増えているよう。「知らないうちに…」ではすまされない話なのが課金請求。ゲームだけでなく、動画配信者にお金を投げられる投げ銭システムで勝手にお金を使われていたなんてことも。 「子どもが違法なアプリだと知らずに使っていた」(神奈川県・主婦・41歳) 無料で読める漫画や動画サイトの違法アップロードはニュースになることもありますが、中高生の子どもが、そうとは知らずに使ってしまっていた、という場合もあるようです。
「娘の友達がLINEで嫌がらせをされたことがある」(東京都・派遣社員・41歳) 「子どもがLINEいじめにあいました。学校に相談しましたが対処してくれず、その後教育委員会に相談しました」(神奈川県・アルバイト・44歳) 子ども同士のプライバシーもあるからこそ、親がわかりづらいSNS上でのいじめ。また被害者だけでなく、加害者になってしまっていないかも心配なところです。
子どもをネットトラブルから守る3つのポイント
子どもたちをネットトラブルから守るために、親としてどういったことに気をつけていればいいのか、元小学校教員で、子どもたちのスマホやSNS事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんに、今すぐできるポイントを教えてもらいました。
●ポイント1:子どもが使う前に、まずは親が確認作業を
「ここ最近コロナで外で遊べない分、お友達とオンラインゲームで遊ばせていたら勝手に課金されていたという話を多く聞くようになりました。そうならないためにもまずは、子どもに遊ばせたりする前に一度は必ず親が体験することをおすすめします」 どういうボタンを押せば課金してしまうのか、知らない人とやり取りできるのか、そもそもそのアプリの対象年齢なども確認を。安全に使うためのアプリでの制限機能が用意されていることも多いので、合わせて調べておきましょう。 「というのも親のスマホだとほとんどのアプリがダウンロードできてしまうのですが、ボイスチャット機能のあるゲームは対象年齢が12歳以上だったりします。少し手間がかかりますが、内容をしっかり確認してから渡すようにしてください」
●ポイント2:子どもと一緒にルールを決めておく
次に、子どもが使うオンラインゲームやアプリがどういうものか理解した上で子どもと一緒にルールを決めます。 「親が勝手に決めるのではなく一緒に考えることがポイントです。1日どれくらいの時間遊んでいいのか、見るだけならOKなもの、学校の友達同士でやるならOKなどを決めておきましょう。また、個人情報をネット上の人に教える、勝手に課金してしまうなど、やってはいけないルールなどもあらかじめクリアにしておくことも重要です」
●ポイント3:あえて早めに与えて、親がしっかり管理するのもあり
「中学生以上になるとどうしてもプライバシーの観点などから親が介入しづらいことが増えてきてしまいます。だからこそ、タブレットなどネットにつながる機器を小さい頃から与えて親がしっかりと管理し、ネットリテラシーを教えていくのもいいですね」 ゲーム機やキッズ携帯、タブレット端末などのガジェットには「ペアレンタルコントロール」という機能が備わっているものがほとんど。 「使用時間の制限や閲覧制限、課金制限、対象年齢外のアプリの利用制限、アプリの使用履歴の確認などができます。そういうのは積極的に使用しましょう。そしてなぜそういう制限をするのかをちゃんと子どもに教え、ネットリテラシーの教育をしましょう。そうすれば中高生で自分のスマートフォンを持ったときなどある程度のリテラシーは備わっているはずなのでトラブルに巻き込まれにくくなると思います」
もし子どもがネットトラブルに巻き込まれたらどうする?
親が常に制御できるわけもなく、大きくなればなるほど目も届きづらくなります。監視しすぎもよくないし、信用してあげたいのが親心。しかし、子どもがトラブルに巻き込まれる可能性がゼロではありません。
「命や大事に関わるようなトラブルの場合はすぐ警察で大丈夫です。そうでない場合は学校や園の先生たちに相談してみてください。ほかにも誹謗中傷に関しては法務省の相談ページや文部科学省の相談ページなどもあります」 しかし中学生くらいになるとSNSでのいじめなどは相談しづらいこともあるので、スマホなど与えるまえに、LINEのチャット機能で相談できるアカウント(チャイルドラインなど)を友達登録させて説明してから渡すのがおすすめなのだそう。 「チャットなら電話相談よりもハードルが低いですし、親に相談しづらいことも気軽に相談できるところがあれば、子どもたちにとっても親にとっても少しは安心できると思います。また、ツールがネット上のものになったとしても、SNSでの交流は人とのやりとりであることは変わりません。だからこそ、直接話すとき以上に、相手の気持ちも考えたり言葉選びに気をつける必要があることも伝えておくのがよいでしょう」 オンラインゲームが盛んになる春休みや、進学進級などでスマホを持たせることが増えるこの季節、親子でネットとの関わり方を見つめ直してもいいかもしれません。
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