いじめニュース速報@イジ速

いじめ事件 ・イジメ ニュースを発信中!スマホいじめが増加!子供達をいじめから守ろう!

TM NETWORKの木根尚登、いじめの両方を体験

TM NETWORK木根尚登が、離婚式などを手がける涙活プロデューサー・寺井広樹、イラストレーター・もずねこと、いじめ撲滅をテーマにした絵本「『おに』と名づけられた、ぼく」を7月に発売した。9月10日の世界自殺予防デーには都内で、木根が絵本の読み聞かせをしたり、寺井が作詞、木根が作曲と歌を担当した新曲「ともしび」の披露などを行うイベントも開くという。

いじめる側、いじめられる側、両方を経験

 「幼稚園のとき、ちょっと動作の遅い子を指差して、この子を仲間はずれにしようって僕、言っちゃったんですよ。そうしたら、遊び仲間の中心にいた子が、そういうことを言う君が仲間はずれだ、と。それで少しの間、ひとりぼっちで、みじめな思いをした。そういうことを言ったらこうなるんだって、友達に教わった記憶がずっとあって」

 そして中学1年のとき、いじめに遭った。

 「背が小さかったのを、すごくからかわれて。一生懸命、自分では遊んでいるように転換して笑顔で返したりするんだけど、学校へ行きたくなくなった。いじめる側といじめられる側、両方を経験したんですね」

「いじめられる側にも問題がある」には反論 傍観者にこそ、絵本を読んでもらいたい

絵本『「おに」と名づけられた、ぼく』より(撮影:志和浩司)

 そんな子ども時代の体験を思い出すきっかけが、TMネットワークとしてデビュー後に訪れた。SNSもない当時、自身が出演するラジオ番組にリスナーから寄せられるハガキや手紙で、彼ら彼女らのプライベートを知ったのだ。

 「いま幸せで楽しいです、って書いてくる子はほとんどいない。実は僕いじめられていた、でもTMの曲と出会って元気をもらってます、そういう声が多い。苦しみや悩みを打ち明ける子がこんなにいるのかと。いじめを扱った本を書くようになってからも、死のうと思っていたけどがんばって生きようと思います、なんて感想をもらって。自分の中では、誰かを救おうなんて大それた気持ちは1ミリもないけど、音楽はじめ何か作る側として提供していくうちに、発信した向こう側にいる人たちが思い思いに受け止めてくれて、糧にしてくれたりする。これは自分の責任って重いなって思いました」

 教育委員会の関係者から激励の手紙が届いたりするうちに、いじめ撲滅の活動へのモチベーションは次第に高まっていった。木根は、いじめ問題が起きると必ずついてまわる「いじめられる側にも問題がある」という意見に「いじめる側が100%悪い。戦争が100%悪いのと同じです」ときっぱり反論する。そしてこの絵本は、いじめられている人や、いじめている人に向けるというより、どちらでもない人たちに届けたいと語る。

 「いじめられている人がいじめの本なんて読みたくないですよ。本の中でもいじめられてるわ、みたいな。で、いじめてる人が読んでも、これは自分のことだとは思わない。じゃ誰が読むんだっていったら、多くの傍観者。僕は傍観者の心の根を変えないといじめはなくならないと思います。傍観しているのは加担しているのと一緒。とくに大人たちが、どういうふうにそれを捉えていくのかなっていうのがすごく大事だと」

いまの自分を形成したTMネットワーク

近年、木根は音楽活動を主軸に、劇団を主宰や役者として舞台出演するなど、演技の仕事にも力を入れてきた。そしてそのほかに、いじめ撲滅の活動がある。それぞれが大事な活動だが、中心にあるのはやはり音楽だ。とくに、いまの自分を形成するのにTMネットワークは大きな役割を果たしたという。

 「TMは僕が入社した会社、あるいは学校です(笑)。ソロではもともと好きな音楽を趣味の延長でやっていますが、小室君や宇都宮君から学んだことは多い。とくに小室君はぜんぜん僕と違うタイプなので、一時期はこのバンドで自分はやっていけるのかな?って疑問もありました。僕はフォークソング世代で、吉田拓郎さんから音楽に入ったので。小室君はもろ洋楽、真逆の音楽をやっていた。だから楽しいことばかりではなかったけど、でもTMは学校なんだとか、お給料もらってるから会社なんだとか、自分に言い聞かせながらやってきたんです」

 ソロ活動のほうも、スタートして25年が経ったことを記念し、集大成ともいえるライブを12月に行う。これまでキャリアを重ねる中で、心がけていることは……。

 「行き当たりばったり、ですね」と笑う。何も決めていないドキドキ感がいいという。

 しかし、いじめ撲滅活動は行き当たりばったりではない。行き当たりばったりで生きてきたミュージシャン木根が、人生を通して取り組んでいる大切な活動だ。音楽や芝居とともに、いじめ撲滅という面でも何を生み出していくのか。木根尚登がやることを見逃してはいけないと感じた。