AIで「いじめ分析」 大津市
いじめはどんな状況で起きやすいのか、重大化する兆候はあるかなどをAIが分析。
いじめはどんな状況で起きやすいのか。重大化する兆候はあるか。滋賀県の大津市教育委員会が4月以降、AI(人工知能)ソフトを用いて傾向を探るいじめ対策に乗り出す。2011年に市内でいじめ自殺が起きて以降、各校から市教委に提出された約9千件の「いじめ事例」をAIで分析。重大化する事案を予測し、早期対応につなげる。
大津市では、いじめを受けた中学2年の男子生徒(当時13)が11年10月に自殺。市はいじめ対策推進室をつくり、各校に専門の教員を置くなどしていじめ問題に取り組んできた。
13年度からは、いじめが疑われる事案が起きた場合、原則として24時間以内に「いじめ事案報告書」を学校が市教委に出すことをルール化。報告書には、いじめの内容や発覚の経緯、指導した内容などを教員が記入している。
17年度までに約5700件の報告があり、18年度分は約3300件となる見込み。ただ、「それぞれの事案の内容が込み入っており、人の手で網羅的に把握するのは難しい」(市教委の担当者)として分析などには活用していなかった。
市教委はデータの蓄積を生かそうと、クロス統計を用いたAIソフトで分析することにし、新年度予算案に委託費など91万円を計上。これまでの報告書を順次整理し、有識者らによるワーキングチームで分析させる項目を絞り込む。