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担任が加害生徒に見せるいじめ告発文

公表された岐阜市内の中学3年生のいじめに関する報告書。学校現場の対応の記述などが白紙や黒塗りとなっている

岐阜市立中学3年の男子生徒=当時(14)=が昨年7月、いじめを苦に自殺した事件で、市教育委員会の第三者組織・いじめ問題対策委員会が調査結果をまとめた報告書の全容が分かった。公表された報告書は106ページのうち約70ページで一部黒塗りや白紙とされていた。生徒からの「SOS」に対して学校の教員たちの向き合い方は適切だったのか、改めて検証する。

 対策委員会の聞き取り調査では、男子生徒が亡くなる前の2カ月間に2度、他の生徒が担任らにいじめについて訴えを寄せていることが分かっている。報告書はその具体的な事象、教員がどのように対応したかなどの経過を細かに記す。

 「任してください。完ぺきにいじめです。指導します」(原文ママ)。昨年5月31日、男子生徒の同級生が、いじめの内容を記したルーズリーフを生活ノートに挟んで託した日、担任教諭はノートにこう返事を書き記し、訴えに呼応している。担任は被害生徒を呼び出して、「クラスの子がいじめじゃないかと心配していたよ」と、事実関係を聞き取った。学年主任にはルーズリーフは見せずに、口頭で確認事項を報告した。

 一方、告発文で名指しされていた加害生徒2人のうち1人には、ルーズリーフを直接見せていた。「本当にクラスの子が見てたから訴えてきたんですか。先生が注意したいからそういうことにして言っているんじゃないですか」。加害生徒が担任にこう質問してきたためだ。加害生徒は一応は納得した表情を見せたものの、こうも答えたという。「ふざけの延長だ」

 

 同6月17日には、別の同級生が校内でのアンケートを通じて、いじめについて情報を寄せている。

 「○○君がよくいじめられている。本人はいやなのかは知らないが、『本当にやめろ』と言っているときも、いじめつづけている姿があるので、少し心配である」

 担任はアンケートを集計し、学年主任に提出した。

 「○○君がよくいじめられている。本人はいやなのかは知らないが、心配である」

 同級生の寄せた告発は、一部が欠落した状態で上司に渡っていた。担任がこの生徒に直接、状況を聞き取ることはなかった。報告書では、担任がいじめという認識で告発を捉えておらず、一部を欠落させて上司に伝えたことで、結果として、学年主任や生徒主事がいじめという認識を持っていなかったと指摘している。

 担任は当時、教員になって10年未満の若手教諭だった。生徒指導に長年携わった岐阜地区の中学校長は、いじめを受けた本人ではなく別の生徒からの報告だった点が「重大性と緊急性の判断を鈍らせた」と指摘しつつ、対応の方法が管理職から若手に伝わっていないと危機感を示した。「いじめの防止にはスキルが必要。個人でなく組織で対応に当たるべきだった」

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 子どもの未来を育む学校で起きた、いじめによる生徒の自殺。複数の関係者らへの取材から浮かび上がった、学校現場の課題に向き合う。